E02147 IFRS
前期
3,883.6億 円
前期比
111.0%
株価
5,350 (04/25)
発行済株式数
25,234,331
EPS(実績)
1,078.29 円
PER(実績)
4.96 倍
前期
641.7万 円
前期比
106.3%
平均年齢(勤続年数)
41.1歳(16.9年)
従業員数
3,884人(連結:13,920人)
当社グループは、当社及び子会社34社、関連会社7社で構成され、油圧緩衝器・油圧機器等の製造・販売並びに各事業に関連するサービス業務等を行っております。当社グループの事業に係る位置づけ及び報告セグメントとの関連は次のとおりであります。なお、当社は「AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業」、「HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業」、及び「航空機器事業」の3つを報告セグメントとしております。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 6.セグメント情報」をご参照ください。
◆AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
AC事業では、国内においては、KYB金山㈱及びKYB-YS㈱他から製品・部品等の供給を受け、当社が四輪車用油圧緩衝器、油圧機器等を製造のうえ、自動車メーカー及び市販・サービス市場等へ販売しております。また、KYBモーターサイクルサスペンション㈱から製品・部品等の供給を受け、二輪車用油圧緩衝器等を二輪車メーカー等へ販売しております。KYBロジスティクス㈱は、物流・サービス提供等に係わる事業を行っております。
海外においては、KYB Americas Corporation他は、四輪車用及び二輪車用油圧緩衝器、油圧機器等を製造し、各国の自動車メーカー等へ販売しております。また、関係会社間において、製品・部品等の供給も行っております。KYB Europe GmbH他は、欧州・米国・中国・東南アジア及びその他地域の市販市場等へ販売しております。凱迩必(中国)投資有限公司は、関係会社の統轄等に係わる事業を行っております。
◆HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
HC事業では、国内においては、当社、KYB-YS㈱及び㈱タカコ他が産業用油圧機器等を製造のうえ、建設機械メーカー等へ販売しております。
また、海外においては、凱迩必機械工業(鎮江)有限公司他が産業用油圧機器を製造し、各国の建設機械メーカー等へ販売しております。凱迩必(中国)投資有限公司は、関係会社の統轄等に係わる事業を行っております。
◆航空機器事業
航空機器事業では、当社が航空機用離着陸装置、操舵装置、制御装置及び緊急装置等を製造し、販売しております。
◆特装車両事業及び電子機器等
特装車両事業及び電子機器等の製品では、国内においては当社が製造した特装車両等を特約販売会社等へ販売しております。
海外においては、KYB-Conmat Pvt. Ltd.が特装車両等を製造し、インドおよび周辺国の市場へ販売しております。
[事業系統図]
以上に述べた事項を図で表すと次のとおりであります。
(注) ◎は連結子会社、☆は持分法適用関連会社、○は非連結子会社、△は持分法非適用関連会社であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(百万円未満四捨五入)
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動制限の緩和が進み景気回復の動きが見られましたが、一方で地政学リスクの高まりによるエネルギー価格の高騰、インフレ加速に対する各国金融政策等、景気悪化の懸念がぬぐい切れない不透明な情勢となりました。
こうした中、わが国経済は、長引く円安基調による物価上昇、人手不足による物流コスト上昇等により、景気の先行きについては依然として見通しづらく、将来予測は困難な状況と言えます。
このような環境のもと、当社グループの売上高は4,312億円と、前連結会計年度に比べ428億円の増収となりました。
営業利益につきましては325億円(前連結会計年度営業利益300億円)、税引前利益は318億円(前連結会計年度税引前利益288億円)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は272億円(前連結会計年度親会社の所有者に帰属する当期利益225億円)となりました。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
2019年3月期において、当社及び当社の子会社であったカヤバシステムマシナリー株式会社(当該子会社は2021年7月1日をもって当社を存続会社とした吸収合併により解散しております)にて、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準(※)に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実が判明いたしました。
(※)制振用オイルダンパーについては、大臣認定制度はありません。
当連結会計年度においては、2023年3月31日時点で交換が未完了の不適合品及び性能不明品(性能検査記録のデータ書き換え有無が確認できないもの)の全数(免震用オイルダンパー71本、制振用オイルダンパー359本の合計430本)を対象として、交換用免震・制振用オイルダンパーの交換工事に要する費用及び営業補償等を製品保証引当金に計上しており、当該製品保証引当金の当連結会計年度末の残高は44億円であります。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、当社グループ再編に伴いセグメント管理区分の見直しを行った結果、従来「HC事業」に含まれていた鉄道機器を「AC事業」に含めて開示しております。このため、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較しております。
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
ⅰ) 四輪車用油圧緩衝器
四輪車用油圧緩衝器は、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞や半導体不足からの回復、中東での市販製品の好調、円安による為替影響により、売上高は2,022億円と前連結会計年度に比べ19.5%の増収となりました。
ⅱ) 二輪車用油圧緩衝器
二輪車用油圧緩衝器は、東南アジア、インド及び中国での販売好調により、売上高は459億円と前連結会計年度に比べ31.6%の増収となりました。
ⅲ) 四輪車用油圧機器
パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、電動パワーステアリングやCVT(無段変速機)用ベーンポンプの販売減少により、売上高は210億円と前連結会計年度に比べ11.9%の減収となりました。
ⅳ) その他製品
鉄道車両用オイルダンパを中心とするその他製品の売上高は94億円と前連結会計年度に比べ4.9%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,785億円と前連結会計年度に比べ17.1%の増収となり、セグメント利益は187億円と前連結会計年度に比べ27億円の増益となりました。
当セグメントは、産業用油圧機器、システム製品、その他製品から構成されております。
ⅰ) 産業用油圧機器
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、主要な市場である中国での需要は減少したものの、北米市場の堅調な需要を背景に、売上高は1,303億円と前連結会計年度に比べ1.3%の増収となりました。
ⅱ) システム製品
舞台機構、艦艇機器、免制振装置を主とするシステム製品の売上高は40億円と前連結会計年度に比べ13.1%の減収となりました。
ⅲ) その他製品
その他製品の売上高は35億円と前連結会計年度に比べ6.6%の増収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,379億円と前連結会計年度に比べ0.9%の増収となりましたが、光熱費等のエネルギー価格の高騰によりセグメント利益は75億円と前連結会計年度に比べ43億円の減益となりました。
(c) 航空機器事業
当セグメントは、航空機器用離着陸装置、同操舵装置等から構成されております。
航空機器事業は、売上高は44億円と前連結会計年度に比べ20.8%の増収となり、セグメント損失は14億円と前連結会計年度に比べ25億円の増益となりました。
当セグメントは、特装車両及び電子機器等から構成されております。
ⅰ) 特装車両
コンクリートミキサ車を主とする特装車両の売上高は92億円と前連結会計年度に比べ0.7%の増収となりました。
ⅱ) 電子機器等
電子機器等の売上高は12億円と前連結会計年度に比べ4.4%の増収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は104億円と前連結会計年度に比べ1.1%の増収となりましたが、セグメント利益は7億円と前連結会計年度に比べ2億円の減益となりました。
(百万円未満四捨五入)
流動資産は、現金及び現金同等物が減少する一方、営業債権及びその他の債権が増加しました。また、非流動資産につきましては、その他の金融資産が増加しました。この結果、総資産は126億円増加し、4,468億円となりました。
負債につきましては、社債及び借入金が減少したことにより、負債総額は175億円減少し、2,558億円となりました。
資本は、当期利益に伴う利益剰余金の増加、為替影響によるその他の資本の構成要素の増加により、301億円増加し、1,910億円となりました。
親会社所有者帰属持分比率は、資本が増加したことから40.9%と前連結会計年度末に比べ5.6ポイント好転しました。
② キャッシュ・フローの状況
(百万円未満四捨五入)
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせて104億円の資金流入、また財務活動によるキャッシュ・フローは202億円の資金流出となり、為替換算により12億円増加した結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比85億円減少し、436億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により当連結会計年度は239億円の資金流入(前連結会計年度比3億円の減少)となりました。これは主に税引前利益318億円、減価償却費及び償却費187億円、営業債権及びその他の債権の増加78億円、製品保証引当金の減少93億円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は135億円(前連結会計年度比26億円の支出増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出116億円、定期預金の預入による支出14億円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により流出した資金は、202億円(前連結会計年度は327億円の支出)となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出121億円、主な流入は、長期借入金による収入18億円です。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
四輪車用・二輪車用油圧緩衝器およびパワーステアリング製品を主とするAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、建設機械向け産業用油圧機器およびシステム製品を主とするHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、見込み生産を行っております。航空機器用離着陸装置、同操舵装置等を主とする航空機器事業についても、一部製品においても正式受注が納期間際であることから、その殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
特装車両事業及び電子機器等についても、同様にその殆どが内示に基づく見込み生産となっております。従って、受注高および受注残高を算出することは困難であることから、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主要な販売先(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものは、ありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、新型コロナウイルス禍からの世界各国での経済活動再開により当社製品の主要な需要先である自動車市場はグローバルで回復傾向にあり、建設機械市場は中国地域での受注減により前年同等の売上高となったものの、全般としては為替円安基調の影響も受けて、売上高は前連結会計年度比11.0%増加の4,312億円、セグメント利益は前連結会計年度比3.2%増加の255億円となりました。また、免震・制振用オイルダンパーの適合化が進み製品保証引当金の取崩しを行ったことにより、営業利益は325億円となり、セグメント利益・営業利益ともに過去最高となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
全般的に経済回復傾向にあるものの、一方で地政学リスクの高まりによるエネルギー資源の高騰、インフレ加速に対する各国金融政策等、景気悪化の懸念がぬぐい切れない不透明な情勢が続くものと思われます。
なお、不適合オイルダンパーの適合化につきましては、2023年3月末時点で約98%が完了、100%完了に向け引き続き適合化を進めて参ります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、社債の発行および金融機関からの長期借入を基本としております。当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は1,147億円となっております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は436億円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりであります。当社グループでは、3年間(2024年3月期~2026年3月期)の2023中期経営計画を策定しており、売上高4,700億円、セグメント利益380億円(セグメント利益率8.0%以上)、親会社所有者に帰属する持分比率45.0%以上、ROEは12.0%以上を2026年3月期に達成することを目標としております。
2023年3月期の経営成績は、それぞれ売上高4,312億円、セグメント利益255億円(セグメント利益率5.9%)、親会社所有者に帰属する持分比率40.9%となっており、更なる業績向上に向けた努力を行って参ります。
また、2023中期経営計画では、品質経営を極める、をスローガンに掲げ、顧客価値創造を目指した人財・情報・仕事の質を高めることで製品・サービスの質を向上させて参ります。当社を支える2大コア事業であるAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業とHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業の成長戦略を確実に推進し、革新的モノづくりと変化に対応した絶え間ない原価低減活動に取り組むことで、2026年3月期の目標達成に向けてグループ会社総力を挙げて取り組んで参ります。
なお、2大コア事業であるAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業とHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業の2022年度の基本方針、及び2023中期経営計画の目指す姿と基本戦略は以下の通りです。
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業は、2022年度は「真価の発揮」をスローガンに、コスト削減の継続、各拠点単体での利益確保、新市場・新製品開発を3本柱にして、顧客に選ばれる技術開発を推進し、市販を含めた事業体制の強化を図る活動に取り組んで参りました。2023中期経営計画では、新市場進出や新興メーカへの参入を成長戦略として掲げ、高付加価値製品の拡充と市場投入、及び電動化への取組みを進めて事業の地盤固めと更なる飛躍を目指します。
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、2022年度は「お客様に信頼され世界で採用され続けるメーカ」を目指す姿とし、原価低減・現調化の推進活動や生産性向上を行い、電子化・電動化・システム化を活用した拡販戦略に取り組んで参りました。2023中期経営計画では、建機需要への現地対応や農機向け製品の拡販、地場サプライヤに対抗できる原価作り込みによって利益確保を行い、電動油圧システムの最適化制御技術を構築することにより、付加価値を創造して参ります。
この他、航空機器事業については、2018年度に判明いたしました防衛装備品の不適切事項からお客様からの信頼を取り戻すべく、コンプライアンス強化のもと、生産のしくみ改善に継続して取り組んでおります。
特装車両事業については、市場ニーズに資する高付加価値製品の開発による利益体質の強化に加えて、既存製品の拡販を行い、またトラックEV化に向けた製品仕様や脱炭素社会に貢献できる新製品及び他事業との連携による次世代製品の研究開発を推進し、特装事業の基盤強化を戦略として取り組んでおります。