E02147 IFRS
前期
4,312.1億 円
前期比
102.7%
株価
5,250 (07/12)
発行済株式数
25,234,331
EPS(実績)
685.49 円
PER(実績)
7.66 倍
前期
682.0万 円
前期比
102.3%
平均年齢(勤続年数)
41.3歳(16.7年)
従業員数
4,555人(連結:13,634人)
当社グループは、当社及び子会社33社、関連会社7社で構成され、油圧緩衝器・油圧機器等の製造・販売並びに各事業に関連するサービス業務等を行っております。当社グループの事業に係る位置づけ及び報告セグメントとの関連は次のとおりであります。なお、当社は「AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業」、「HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業」、及び「航空機器事業」の3つを報告セグメントとしております。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 6.セグメント情報」をご参照ください。
◆AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
AC事業では、国内においては、金山カヤバ㈱他から製品・部品等の供給を受け、当社が四輪車用油圧緩衝器、油圧機器等を製造のうえ、自動車メーカー及び市販・サービス市場等へ販売しております。また、カヤバモーターサイクルサスペンション㈱から製品・部品等の供給を受け、二輪車用油圧緩衝器等を二輪車メーカー等へ販売しております。カヤバロジスティクス㈱は、物流・サービス提供等に係わる事業を行っております。
海外においては、KYB Americas Corporation他は、四輪車用及び二輪車用油圧緩衝器、油圧機器等を製造し、各国の自動車メーカー等へ販売しております。また、関係会社間において、製品・部品等の供給も行っております。KYB Europe GmbH他は、欧州・米国・中国・東南アジア及びその他地域の市販市場等へ販売しております。凱迩必(中国)投資有限公司は、関係会社の統轄等に係わる事業を行っております。
◆HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
HC事業では、国内においては、当社、㈱タカコ他が産業用油圧機器等を製造のうえ、建設機械メーカー等へ販売しております。
また、海外においては、凱迩必機械工業(鎮江)有限公司他が産業用油圧機器を製造し、各国の建設機械メーカー等へ販売しております。凱迩必(中国)投資有限公司は、関係会社の統轄等に係わる事業を行っております。
◆航空機器事業
航空機器事業では、当社が航空機用離着陸装置、操舵装置、制御装置及び緊急装置等を製造し、販売しております。
◆特装車両事業及びその他
特装車両事業及びその他の製品では、国内においては当社が製造した特装車両等を特約販売会社等へ販売しております。
海外においては、KYB-Conmat Pvt. Ltd.が特装車両等を製造し、インド及び周辺国の市場へ販売しております。
[事業系統図]
以上に述べた事項を図で表すと次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(百万円未満四捨五入)
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動制限の緩和が進み、景気回復の動きが見られましたが、一方で、中東地域を含めた地政学リスクの高まりによる不安定な世界情勢やエネルギー資源の高騰、インフレ加速に対する各国の金融引締め政策といった景気減速のリスクは依然として残されています。
こうした中、わが国経済は、海外からの入国者増加や政府による賃上げ方針といった景気循環の下地があるものの、円安基調による物価高の長期化が需要抑制要因となって個人消費は足踏み状態であり、構造的な人手不足問題や中国経済の減速等により、不確実性が高まる中で先行きの見通しづらい経営環境が続いています。
当社グループの事業に関する市場におきましては、自動車関連で需要の持ち直しがみられたものの、建設機械関連では中国市場を中心に需要が大きく減速したことや二輪需要の変動、米国や中米・欧州での生産性の悪化等により、当連結会計年度は前年比で厳しい経営環境となりました。
このような環境のもと、当社グループの売上高は4,428億円と、前連結会計年度に比べ116億円の増収となりましたが、営業利益につきましては224億円(前連結会計年度営業利益325億円)、税引前利益は214億円(前連結会計年度税引前利益318億円)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は158億円(前連結会計年度親会社の所有者に帰属する当期利益272億円)となりました。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
2019年3月期において、当社及び当社の子会社であったカヤバシステムマシナリー株式会社(当該子会社は2021年7月1日をもって当社を存続会社とした吸収合併により解散しております)にて、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準(※)に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品(以下、「不適合品」といいます。)を建築物に取り付けていた事実が判明いたしました。
(※)制振用オイルダンパーについては、大臣認定制度はありません。
当連結会計年度においては、2024年3月31日時点で交換が未完了の不適合品及び性能不明品(性能検査記録のデータ書き換え有無が確認できないもの)の全数(免震用オイルダンパー55本、制振用オイルダンパー344本の合計399本)を対象として、交換用免震・制振用オイルダンパーの交換工事に要する費用及び営業補償等を製品保証引当金に計上しており、当該製品保証引当金の当連結会計年度末の残高は29億円であります。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、当社グループ再編に伴いセグメント管理区分の見直しを行った結果、従来「その他」に含まれていたその他製品の一部を「AC事業」に含めて開示しております。このため、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較しております。
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。四輪車用油圧緩衝器は、中国市場における需要は減少したものの、北米や欧州における半導体不足からの回復によるOEM製品の生産増、円安による為替影響等により、売上高は2,149億円と前連結会計年度に比べ6.3%の増収となりました。二輪車用油圧緩衝器は、東南アジアや中国での需要減少により、売上高は413億円と前連結会計年度に比べ10.0%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,930億円と前連結会計年度に比べ4.8%の増収となったものの、北米や欧州での生産性悪化のためセグメント利益は165億円と前連結会計年度に比べ23億円の減益となりました。
当セグメントは、産業用油圧機器、システム製品、その他製品から構成されております。建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、主要な市場である中国での需要減少の影響を大きく受け、売上高は1,245億円と前連結会計年度に比べ4.4%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,344億円と前連結会計年度に比べ2.5%の減収となり、セグメント利益は54億円と前連結会計年度に比べ21億円の減益となりました。
(c) 航空機器事業
当セグメントは、航空機器用油圧機器から構成されております。北米における一部製品の生産終了等により、売上高は39億円と前連結会計年度に比べ11.5%の減収となり、セグメント損失は20億円と前連結会計年度に比べ6億円の減益となりました。
当セグメントは、特装車両等から構成されております。コンクリートミキサ車を主とする特装車両において、半導体不足等の影響緩和により、国内得意先の需要が回復傾向にあることから、当セグメントの売上高は114億円と前連結会計年度に比べ23.7%の増収となり、セグメント利益は11億円と前連結会計年度に比べ5億円の増益となりました。
(百万円未満四捨五入)
流動資産は、現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権の増加等により40億円増加しました。また、非流動資産につきましては、持分法で会計処理されている投資及びその他の非流動資産の増加等により257億円増加しました。この結果、総資産は297億円増加し、4,765億円となりました。
負債につきましては、社債及び借入金が増加したものの、その他の金融負債が減少したことにより、負債総額は57億円減少し、2,501億円となりました。
資本は、当期利益に伴う利益剰余金の増加、為替影響によるその他の資本の構成要素の増加により、354億円増加し、2,264億円となりました。
親会社所有者帰属持分比率は、資本が増加したことから45.6%と前連結会計年度末に比べ4.7ポイント好転しました。
② キャッシュ・フローの状況
(百万円未満四捨五入)
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせて164億円の資金流入、また財務活動によるキャッシュ・フローは150億円の資金流出となり、為替換算により17億円増加した結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比31億円増加し、466億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により当連結会計年度は399億円の資金流入(前連結会計年度比159億円の増加)となりました。これは主に税引前利益214億円、減価償却費及び償却費189億円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は235億円(前連結会計年度比100億円の支出増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出246億円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により流出した資金は150億円(前連結会計年度は202億円の支出)となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出113億円や配当金の支払額68億円です。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
四輪車用・二輪車用油圧緩衝器およびパワーステアリング製品を主とするAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、建設機械向け産業用油圧機器およびシステム製品を主とするHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、見込み生産を行っております。航空機器用離着陸装置、同操舵装置等を主とする航空機器事業についても、一部製品においても正式受注が納期間際であることから、その殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
特装車両事業及びその他についても、同様にその殆どが内示に基づく見込み生産となっております。従って、受注高および受注残高を算出することは困難であることから、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(注)上記金額には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売実績を含めております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、中国経済の落ち込みによる減収があったものの、インフレコスト回収と為替円安効果により、売上高は前連結会計年度比2.7%増加の4,428億円となりました。一方、米国やメキシコでの生産性悪化によるコスト増、市販製品の販売減少に伴う製品構成の変化、及び中国や欧州市場低迷に伴う建設機械向け製品の販売数量減少により、セグメント利益は前連結会計年度比17.8%減少の210億円、営業利益は前連結会計年度比31.1%減少の224億円と、いずれも減益となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。また、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を可能とする経営基盤を築くことを目標に 2023中期経営計画を策定しております。当社グループは幅広い製品群の事業を展開しており、各事業及びその製品群のポートフォリオ評価や計画に対する進捗や見通しを把握するため、売上高、セグメント利益及びセグメント利益率の分析を重視しております。中期経営計画の数値目標については「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
2023中期経営計画の初年度にあたる2024年3月期では、売上高4,500億円、セグメント利益280億円、セグメント利益率6.2%を目標に掲げて活動を進めてまいりました。しかしながら、当連結会計年度の経営成績は、それぞれ売上高4,428億円、セグメント利益210億円(セグメント利益率4.7%)と、中国・欧州市場低迷に伴う建設機械向け製品の販売数量減や米国・メキシコの生産性悪化によるコスト増の要因等により目標に対し未達の結果となりました。
2023中期経営計画では、「品質経営を極める」をスローガンに掲げ、顧客価値創造を目指した人財・情報・仕事の質を高めることで製品・サービスの質を向上させる活動を進めております。当社を支える2大コア事業であるAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業とHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業の2023年度の基本方針及び進捗、2023中期経営計画の2年目にあたる2024年度の方針は以下のとおりです。
AC事業は、2023年度は「新しい挑戦を!」をスローガンに、母機の電動化・自動化のトレンドに対し、新商品・改良商品の開発を促進するとともに、新領域への進出を図り、収益力向上だけでなく全てのステークホルダーのニーズを満たす活動に取り組んでまいりました。2023年度ではVWグループ向け電子制御サスペンションやHero MotoCorp向け倒立フロントフォークの納入を開始し、高い付加価値を提供してまいりました。また、環境に優しいショックアブソーバー用環境作動油である「サステナルブ」を開発し、ラリー選手権参戦車両へも投入しました。当年度も引き続き、高付加価値製品の拡充と市場投入、新市場進出や新興メーカーへの参入、そして電動化への取組みを進めて事業の地盤固めと更なる飛躍を目指します。
HC事業は、2023中期経営計画では「“ゆるぎない信頼”をベースにした成長への再スタート」をスローガンに、ボリュームゾーンである既存ビジネスと次期主力商品となる新たなビジネスを両輪にして活動を進めてまいりました。その中で2023年度は、将来の事業化を見据え、当社の油圧技術の強みとセンサ技術を活かした油漏れ検知センサや油状態診断システムを開発いたしました。当年度、既存ビジネスでは価格・品質・供給の各分野で市場におけるプレゼンスを示すことで、収益性とシェアの確保に取り組んでまいります。加えて、新たなビジネスでは環境・性能・情報の各分野で既存製品にない付加価値の創造につながる製品・サービスの市場投入を意識した体制構築を加速してまいります。
この他、航空機器事業については、2018年度に判明いたしました防衛装備品の不適切事項からお客様からの信頼を取り戻すべく、コンプライアンス強化のもと、生産のしくみ改善に継続して取り組んでおります。
特装車両事業については、ドラム軽量化による積載量の増加、生コン打設作業時の安全対策、使い勝手の向上など、お客様のニーズを反映させた高付加価値製品の市場投入に向け、開発を進めてまいります。またトラックEV化に向けた製品仕様や脱炭素社会に貢献できる新製品及び他事業との連携による次世代製品の研究開発を推進し、特装事業の基盤強化を戦略として取り組んでおります。加えて、新たな収益基盤として、これまで培った技術・経験を投入しキャンピングカーの事業化に向けた取り組みを進めてまいります。
また、当社グループの資金需要、資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、社債の発行および金融機関からの長期借入を基本としております。本連結会計年度におきましては、設備投資等のためDBJ-対話型サステナビリティ・リンク・ローン及びMizuho Eco Financeの借入契約の締結により総額70億円の借入を実行いたしました。当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は1,015億円となっております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は466億円となっております。