E01593 IFRS
前期
3.92兆 円
前期比
112.4%
株価
6,252 (04/24)
発行済株式数
294,674,634
EPS(実績)
127.84 円
PER(実績)
48.91 倍
前期
672.1万 円
前期比
102.3%
平均年齢(勤続年数)
39.1歳(15.8年)
従業員数
35,610人(連結:116,649人)
当社グループは、当社及び209社の子会社・関連会社(製造会社147社、販売会社16社、その他46社)により構成されています。事業内容及びグループ各社の当該事業における位置付けは、次のとおりです。
「日本」、「北米」、「欧州」、「中国」、「その他」の各セグメントで以下製品を製造・販売しています。
区分 |
主な製品 |
|
自 動 車 部 品 |
パワートレイン関連 |
オートマチックトランスミッション(AT)、マニュアルトランスミッション(MT)、 無段変速機(CVT)、ハイブリッドトランスミッション、eAxle、電気式4WDユニット(E-Four)、ハイブリッドダンパー、クラッチディスク・カバー、電動ウォーターポンプ、電動オイルポンプ、ピストン、インテークマニホールド、エキゾーストマニホールド、可変バルブタイミング機構(VVT) |
走行安全関連 |
ブレーキマスターシリンダー、ディスクブレーキ、エレクトロニックスタビリティーコントロール(ESC)、回生協調ブレーキシステム、電動パーキングブレーキ、アクティブリアステアリングシステム、電動チルト&テレスコピックステアリングコラム、ドライバーモニターシステム、自動駐車システム |
|
車体関連 |
パワースライドドアシステム、パワーバックドアシステム、サンルーフ、パワーシート、ドアハンドル、ドアロック、ドアフレーム、グリルシャッター、ユニバーサルステップ、アクティブフロントスポイラー、体重検知センサー、塗布型制振材 |
|
CSS関連他(注) |
カーナビゲーションシステム、乗り合い送迎サービス、補修・メンテナンス用商品 |
|
エナジーソリューション 関連他 |
[エネルギー・住生活関連製品] ガスヒートポンプエアコン(GHP)、コージェネレーションシステム、シャワートイレ [その他] フェムト秒ファイバーレーザー、住宅リフォーム、建設土木、石油販売 |
(注)コネクティッド&シェアリングソリューション (Connected and Sharing Solutions)
(事業系統図)
当社グループの事業系統図及び主要な会社名は次のとおりです。
※画像省略しています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の自動車業界を取り巻く環境を振り返りますと、前連結会計年度から続く新型コロナウイルス感染症の影響による部品供給制約や半導体不足等により自動車メーカーの生産計画に大きな変動が生じました。またウクライナ情勢の悪化等による、原材料価格・エネルギー価格・輸送費の高騰が長期化し、業界全体の収益を圧迫しています。
そのような中、当社グループは想定以上の生産変動に対応しながら、構造改革とサプライチェーン一体となった体質強化を実行しました。また、自動車産業の大変革期の中で生き残りに向け「アイシングループのフルモデルチェンジ」を成し遂げるため、厳しい経営環境の中でも継続して重点領域へのリソーセスシフトや投資を強化しました。
売上収益については、半導体不足や中国ロックダウンによる車両減産影響があり、前連結会計年度に比べパワートレインユニットの販売台数は減少したものの、円安の影響等により、前連結会計年度(3兆9,174億円)に比べ12.4%増の4兆4,028億円となりました。
利益については、生産台数の減少や原材料価格の高騰等外部環境の影響、電動化に向けた既存資産圧縮に伴う構造改革費用により、営業利益は前連結会計年度(1,820億円)に比べ68.2%減の579億円、税引前利益は前連結会計年度(2,199億円)に比べ66.5%減の737億円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度(1,419億円)に比べ73.5%減の376億円となりました。
また、当連結会計年度末の資産については、前連結会計年度末(4兆2,058億円)に比べ1.7%減の4兆1,358億円となりました。負債については、借入金の減少等により、前連結会計年度末(2兆2,092億円)に比べ2.9%減の2兆1,443億円となりました。資本については、前連結会計年度末(1兆9,965億円)に比べ0.3%減の1兆9,914億円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
(ⅰ)日本
売上収益については、パワートレインユニットの販売台数は減少したものの、円安の影響等により、前連結会計年度(2兆8,524億円)に比べ0.0%増の2兆8,534億円となりました。利益については、企業体質改善努力があったものの、販売台数の減少や原材料価格の高騰等により、45億円の営業損失(前連結会計年度営業利益1,165億円)となりました。
(ⅱ)北米
売上収益については、パワートレインユニットの販売台数の増加等により、前連結会計年度(5,981億円)に比べ38.6%増の8,290億円となりました。利益については、売上収益の増加があったものの、原材料価格・輸送費等の高騰、電動化商品に係る生産準備費用や構造改革費用の計上等により、325億円の営業損失(前連結会計年度営業損失166億円)となりました。
(ⅲ)欧州
売上収益については、円安の影響等により、前連結会計年度(3,420億円)に比べ3.4%増の3,535億円となりました。営業利益については、為替差益や一過性収益等により、前連結会計年度(51億円)に比べ63.9%増の83億円となりました。
(ⅳ)中国
売上収益については、円安の影響等により、前連結会計年度(4,697億円)に比べ16.8%増の5,485億円となりました。営業利益については、原材料価格の高騰や構造改革費用の計上等により、前連結会計年度(349億円)に比べ54.1%減の160億円となりました。
(ⅴ)その他
売上収益については、パワートレインユニットの販売台数の増加等により、前連結会計年度(3,986億円)に比べ32.4%増の5,278億円となりました。営業利益については、売上収益の増加や為替差益等により、前連結会計年度(488億円)に比べ27.5%増の622億円となりました。
(注)各セグメントの売上収益の金額は、外部顧客への売上収益に加え、セグメント間の内部売上収益も含めた金額としています。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、営業活動により2,379億円の増加、投資活動により1,868億円の減少、財務活動により1,277億円の減少、現金及び現金同等物に係る換算差額により89億円の増加、売却目的で保有する資産へ15億円の振替の結果、当連結会計年度末には3,176億円となり、前連結会計年度末(3,869億円)に比べ692億円(17.9%)の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(1,933億円)に比べ446億円(23.1%)増加し、2,379億円となりました。これは、税引前利益が1,462億円減少したことや営業債権及びその他の債権の増減額が1,032億円増加したことによる資金の減少があったものの、棚卸資産の増減額が2,165億円減少したことにより資金が増加したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度(2,049億円)に比べ180億円(8.8%)減少し、1,868億円となりました。これは、無形資産の取得による支出が103億円増加したことにより使用した資金が増加したものの、定期預金等の増減額が278億円減少したことにより使用した資金の減少があったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、前連結会計年度(1,358億円)に比べ81億円(6.0%)減少し、1,277億円となりました。これは、前連結会計年度に社債の償還による支出が170億円あったこと等によります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(ⅰ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比増減率(%) |
日本 |
2,831,378 |
△1.5 |
北米 |
816,411 |
30.6 |
欧州 |
314,399 |
△15.4 |
中国 |
553,250 |
15.2 |
その他 |
531,013 |
31.7 |
合計 |
5,046,453 |
6.1 |
(注1) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
(注2) 上記金額には、外部仕入先等からの仕入高が含まれています。
(ⅱ)受注実績
主要な事業である自動車部品製造・販売について、当社グループのすべてのセグメントは、トヨタ自動車㈱をはじめとした大手自動車メーカーより、約3ヶ月前後の予約的発注指示を受け、生産能力を勘案し生産計画を立て、生産を行っています。
(ⅲ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比増減率(%) |
日本 |
2,853,419 |
0.0 |
北米 |
829,009 |
38.6 |
欧州 |
353,513 |
3.4 |
中国 |
548,530 |
16.8 |
その他 |
527,835 |
32.4 |
合計 |
5,112,309 |
9.7 |
(注1) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
(注2) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
なお、割合はセグメント間の内部取引消去後の総販売実績に対して記載しています。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
トヨタ自動車㈱ |
1,099,839 |
28.1 |
1,174,595 |
26.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRS(国際会計基準)に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間及び将来の会計期間において認識しています。
上記のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
② 経営成績の分析
当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度に比べ12.4%増の4兆4,028億円、営業利益は68.2%減の579億円、税引前利益は66.5%減の737億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は73.5%減の376億円となりました。
以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析します。
(ⅰ)売上収益
当連結会計年度の売上収益4兆4,028億円を事業の種類ごとに見ると、自動車部品事業では前連結会計年度に比べ12.6%増の4兆2,783億円となりました。その事業ごとの内訳としては、パワートレイン関連では9.8%増の2兆4,526億円、走行安全関連では17.0%増の8,970億円、車体関連では14.8%増の8,202億円、CSS関連他では30.2%増の1,084億円となりました。また、エナジーソリューション関連他では5.0%増の1,244億円となりました。
(ⅱ)売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は前連結会計年度(3兆4,689億円)に比べ15.4%増の4兆14億円となり、売上収益に対する割合は88.6%から90.9%に上昇しました。これは、材料費が増加したことなどによります。
販売費及び一般管理費は、運賃及び荷造費の増加などにより、前連結会計年度(2,924億円)に比べ16.0%増の3,391億円となり、売上収益に対する割合は7.5%から7.7%に上昇しました。
(ⅲ)その他の収益、その他の費用
その他の収益は前連結会計年度(358億円)に比べ25.9%減の266億円となりました。
その他の費用は、前連結会計年度(98億円)に比べ212.1%増の308億円となりました。これは、固定資産減損損失が増加したことなどによります。
(ⅳ)法人所得税費用
当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度(629億円)に比べ59.0%減少し、258億円となりました。
(ⅴ)非支配持分に帰属する当期利益
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期利益は、前連結会計年度(150億円)に比べ32.1%減少し、102億円となりました。
(ⅵ)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度(1,419億円)に比べ73.5%減少し、376億円となり、基本的1株当たり当期利益も526円66銭から139円77銭に減少しました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
(ⅰ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
(ⅱ)資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、電動化商品の生産に向けた設備投資や社会課題の解決に貢献するソリューション型商品を中心とした新商品開発への研究開発投資です。
今後の持続的な成長のために必要な設備投資及び研究開発投資による資金需要が見込まれる場合には、長期資金の調達を実行する可能性があります。
(ⅲ)財務戦略
当社グループは、企業価値の最大化を目標として、すべてのステークホルダーとの良好な関係を築き、長期安定的な成長と発展をめざしています。
当社グループの資本政策は、「財務の安全性」と「資本の効率性」のバランスをとることで、常に低コストで資金調達をできる状態に保ち、企業価値の向上を目指すことを基本方針としています。具体的には、キャピタリゼーション比率(注1)を指標として用い、当該比率が概ね25%~30%となることが最適な資本構成であると考えています。
「財務の安全性」については、格付会社による評価をひとつの目安とし、高い信用格付を維持することにより、低コストでの資金調達がいつでも可能になるよう努めています。一方、「資本の効率性」については、格付が維持できる範囲で、負債による資金調達を優先し、資本の規模を抑制することで、全体の資本コストの低減をはかっています。また、キャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)(注2)を導入することで、連結ベースでの財務戦略や当社グループ内での資金の有効活用を実現しています。
(注1) 有利子負債と資本(純資産)のバランスを示す指標です。
(有利子負債 /(有利子負債+資本合計))
(注2) グループ企業の資金を親会社や中核会社が同一銀行内に専用口座を設置して集中管理することにより、効率的な連結運営や資金運用をする手法、又はその仕組みを指します。
(ⅳ)資金調達
当社は、安定的かつ低コストで資金を確保することを基本方針としています。
資金調達にあたっては、平均残存期間の維持及び返済年限の平準化に資する調達年限を設定し、市場動向等を勘案した最適な資金調達手段を選択・実行しています。また、当社は高い信用格付けを維持するとともに、金融機関や投資家等と幅広く良好な関係を構築しており、競争力のある調達コストの維持・追求に努めています。
当連結会計年度末の社債及び借入金残高8,486億円のうち、2,725億円はハイブリッド社債とハイブリッドローンで調達しており、格付会社より残高の50%である1,362億円について資本性の認定を受けています。
当社では、経営を取り巻く様々なリスクに対応できるよう、現預金だけでなく、コミットメントライン契約を締結するなど、十分な流動性の確保に努めています。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりです。当連結会計年度においては、生産台数の減少や原材料価格の高騰等外部環境の影響、電動化に向けた既存資産圧縮に伴う構造改革費用により、営業利益率は1.3%、ROIC(投下資本利益率)は1.8%となりました。
当目標の達成に向けた取り組みについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載のとおりです。