E04324 Japan GAAP
前期
5,538.3億 円
前期比
104.6%
株価
5,426 (04/26)
発行済株式数
58,572,769
EPS(実績)
426.12 円
PER(実績)
12.73 倍
前期
601.9万 円
前期比
99.5%
平均年齢(勤続年数)
40.9歳(15.0年)
従業員数
12,233人(連結:31,141人)
当社グループは、当社、子会社71社、関連会社14社で構成され、当社が営む物流・機工の二事業に加えて、情報システム・人材派遣等のサービス事業を国内外において幅広く展開しております。
グループ各社の事業に関わる位置付けおよび事業の種類別セグメントとの関連は、次のとおりであります。
事業の系統図は、次のとおりであります。
(注) 当社グループの事業の位置付けについて、当社と当社グループとの関係を中心に記載しておりますが、
各グループ間の相互取引ならびに当社を経由せず直接得意先に対する取引も実施しております。
当連結会計年度における世界経済は、中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーンの混乱、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、原材料・エネルギー価格の高騰、金利利上げ等引き続き先行き不透明な状況が続きました。米国では、物価高止まりによる消費押下げと大幅利上げによる住宅投資減少から内需が減速しています。一方、個人消費は家計貯蓄を背景に総じて堅調に推移しました。中国では、ゼロコロナ政策解除が発表されましたが、外需の低迷・慎重な個人消費等で本格回復が遅れています。国内経済では、コロナ政策の緩和と経済活動正常化により内需を中心に持ち直し傾向にあります。一方、ロシア・ウクライナ情勢を受けた資源価格の上昇による物価高や、海外経済の減速が輸出下振れ要因となる等先行き不透明な状況が続いております。
このような経済情勢の下、当連結会計年度における売上高は5,792億26百万円と前連結会計年度に比べ4.6%の増収、利益面においては営業利益が381億69百万円と10.7%の増益、国内の工事不具合に伴う支払補償費の計上があったものの、海外の倉庫火災に伴う保険金の収受により経常利益は396億31百万円と11.8%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は249億59百万円と10.3%の増益となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①物流事業
港湾国際事業では、国内の海上コンテナ取扱いの増加やこれに伴うヤード内作業・保管作業が堅調に推移しました。また、昨年度完工した東南アジアでのプロジェクト案件の剥落、航空貨物の取扱いの減少等の影響はあるものの、国内外での海上貨物の輸出入取扱いが好調に推移しました。3PL一般事業では、中国・東南アジアでの自動車部品・消費財等の輸送・保管作業等が堅調に推移したものの、国内ではお客様内製化・消費財の取扱量が減少しました。構内では、国内客先の単価改定が進む一方、作業量は減少となりました。海外では、作業量増の一方、装置の不具合に伴う先行コストおよび、設備修繕費用の増加がありました。
以上の結果、物流事業全体の売上高は3,020億67百万円と前期比5.3%の増収、セグメント利益(営業利益)は98億77百万円と前期比10.2%の減益となりました。
なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は52.2%であります。
②機工事業
設備工事では、昨年度完工した化学プラント建設工事等の剥落があったものの、鉄鋼・化学関連設備の改修・更新・撤去・建設に伴う工事量に加え、メンテナンスで国内SDM(大型定期修理工事)の工事が増加しました。
以上の結果、機工事業全体の売上高は2,524億88百万円と前期比4.0%の増収、セグメント利益(営業利益)は260億75百万円と前期比17.7%の増益となりました。
なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は43.6%であります。
③その他
国内SDM(大型定期修理工事)等、機材・資材貸出の増加に伴う取扱量の増加や、道路・付帯設備の補修工事量の増加に加え、システム構築案件が増加しました。
以上の結果、その他の事業全体の売上高は246億70百万円と前期比2.6%の増収、セグメント利益(営業利益)は16億39百万円と前期比70.4%の増益となりました。
なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は4.2%であります。
(2) 財政状態の状況
①資産
当連結会計年度末における総資産は4,816億61百万円であり、前連結会計年度末に比べ191億93百万円増加しました。この増加の主な要因は、好調な業績を背景とした現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等によるものです。
②負債
当連結会計年度末における負債の部は2,091億28百万円であり、前連結会計年度末に比べ46億13百万円減少しました。この減少の主な要因は、協力会社への支払早期化に伴う支払手形及び買掛金の減少等によるものです。
③純資産
当連結会計年度末における純資産の部は、2,725億32百万円であり、前連結会計年度末に比べ238億7百万円増加しました。この増加の主な要因は、利益剰余金および為替換算調整勘定の増加等によるものです。
その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末を2.7ポイント上回る55.9%、D/Eレシオについては前連結会計年度末より0.01ポイント減少し、0.18倍となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ83億21百万円増加し、当連結会計年度末残高は508億1百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は、332億77百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、仕入債務が減少したこと等により、資金の収入は104億14百万円減少しました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少額は、165億33百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出が増加したこと等により、資金の支出は15億95百万円増加しました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少額は、111億6百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、長期借入による収入が増加したこと等により、資金の支出は133億85百万円減少しました。
当社連結グループが営んでおります事業では生産実績を定義することは困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 売上実績
当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社連結グループの事業では、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、各事業の売上実績を
記載しております。
2.主な相手先別の売上実績および当該売上実績の総売上実績に対する割合
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
①事業拡大
物流事業においては、国内外における、物流診断や企画・提案営業により、新規お客様の獲得や既存事業領域の深耕拡大を図るとともに、国内外のお客様のサプライ・チェーンと消費財物流に資する3PLを中心とした物流領域の拡大に取り組み、その成果は着実に出ているものと考えております。新たな「中期経営計画2026」ではこれまでの取り組みに加え、電気・電子部品、自動車部品、危険品を含む化成品など既存事業の中で特に優位性のある貨種をターゲットに、ノウハウの水平展開によって国内外での事業拡大を図ります。また、デジタル化・自動化を促進し、業務の効率化やコスト削減を図るとともに、お客様等とのデータ連携を強化することで、サービスの付加価値向上、競争力強化を図ってまいります。
機工事業においては、当社のビジネスモデルを武器にお客様のアウトソーシングニーズを着実に取り込み、ここ数年は国内外において、特にメンテナンス事業が大きく伸長いたしました。これはお客様を取り巻く経営環境が大きく変化する中で、生産の効率化・基盤強化・環境関連投資等への旺盛なニーズに対して、当社の強みである動員力と現場力が選ばれてきた結果だと考えております。新たな「中期経営計画2026」では、既存事業の優位性を更に強化し、主要業界である鉄鋼や石油化学の需要を確実に取り込むとともに、カーボンニュートラル関連や海外事業など、将来の成長領域への事業拡大を図ってまいります。
②収益性
これまでの中期経営計画において、「筋肉質な収益体制の構築」を経営戦略に掲げ、取り組んで参りました。
物流事業においては、コスト構造の見直しや適正単価収受の交渉を進め、採算性の低い拠点の集約や作業撤退等を実行することで事業体質を改善させ、営業利益率は向上いたしました。
機工事業においては、グローバルに事業を展開する中で事業本部が主導し、大型プロジェクトの進捗管理を徹底することで、事業全体の収益性が向上いたしました。工事工程の見直しや新技術の応用による省力化を進めるとともに、協力会社も含めた要員・機材をグループ全体で管理し、その効率的な配置にも継続的に取り組んでおります。
これらの取組結果として、コロナ禍による世界経済低迷の影響があったものの大きく収益性を損なうことなく、安定した利益を生み出す収益体質を構築することができました。新たな「中期経営計画2026」では、「売上高6,300億円以上」、「営業利益率6.7%以上」という目標を掲げ、更なる収益性の向上に取り組んでまいります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社連結グループの主な資金需要は、事業運営に必要な労務費、外注費、材料費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、さらには当社連結グループの設備新設、改修等に係る投資であります。
上記以外にも、当社連結グループの企業価値向上の観点において、効果的なM&Aや、AI・IoT等の最新技術を用いた作業の効率化、新しいビジネスモデルの構築のための成長投資の検討も行っております。
また、自己株式の取得については、株価水準や市場環境等を勘案し適宜実施すること、自己株式の保有については、発行済株式総数の5%程度を目安とし、それを超える株式は原則として消却することを基本方針としております。
これらの必要資金は、まずは営業活動によるキャッシュ・フローと自己資金にて賄い、必要に応じて、適正な範囲内での金融機関からの借入および社債発行等による資金調達で対応することとしております。
現金及び現金同等物を含む手許の資金流動性につきましては、可能な限り圧縮し資金効率の向上に努めております。一方、急激な金融環境の変化や突発的な資金需要への備えとして、迅速かつ機動的に資金調達ができるコミットメントライン契約を金融機関と締結しております。
当連結会計年度につきましては、パートナー会社(協力会社)に対する支払条件を早期化したことによる営業支出の増加に加え、前連結会計年度と比較して投資キャッシュ・フローによる資金の支出が増加したこと等により、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度から120億10百万円減少し、167億43百万円となりました。このフリーキャッシュ・フローと金融機関からの長期借入金の調達を財源として、長・短借入金の返済や普通社債の償還等の財務支出を賄った結果、当連結会計年度末における有利子負債残高(リース債務除く)は492億26百万円と、前連結会計年度末から35億39百万円増加しましたが、D/Eレシオは0.18倍と、前連結会計年度末の水準を維持しております。
なお、キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。
(3) 財政状態
当社連結グループでは、事業の選択と集中を実施し、不稼動・低稼働資産の集約・売却等による資産圧縮を行い、フリーキャッシュフローの有効活用を進める過程で、3PLや3PM(一括メンテナンス)の高度化、アジアを中心とした海外事業拡大、事業領域の拡大・新規領域への進出への投資の集中を図っております。
また、資金調達に関しては、営業キャッシュ・フローと負債の活用、設備投資の支出の状況、現預金残高の水準等を総合的に勘案し、適正な範囲内でかつ機動的に実施することを基本方針としており、その方針のもと、資金調達手段の多様化やグループ内余剰資金の有効活用等の各種施策を継続的に推進しています。
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は2,506億29百万円であり、前連結会計年度末に比べ120億86百万円、5.1%増加しました。主な要因は、好調な業績を背景とした現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等によるものです。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は2,310億32百万円であり、前連結会計年度末に比べ71億7百万円、3.2%増加しました。主な要因は、設備投資による有形固定資産の増加等によるものです。
③流動負債
当連結会計年度末における流動負債は1,168億61百万円であり、前連結会計年度末に比べ239億35百万円、17.0%減少しました。主な要因は、協力会社への支払早期化に伴う支払手形及び買掛金の減少等によるものです。
④固定負債
当連結会計年度末における固定負債は922億67百万円であり、前連結会計年度末に比べ193億22百万円、26.5%増加しました。主な要因は、長期借入金の増加等によるものです。
⑤純資産
当連結会計年度末における純資産は2,725億32百万円であり、前連結会計年度末に比べ238億7百万円、9.6%増加しました。主な要因は、利益剰余金および為替換算調整勘定の増加等によるものです。
当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末を2.7ポイント上回る55.9%となっております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社連結グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
①繰延税金資産
当社連結グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
②退職給付債務および退職給付費用
退職給付債務および退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績および将来の経済・市場環境の見通し等を基礎として設定しております。割引率および長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
③工事損失引当金
受注工事の将来の損失に備えるため、未成工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、工事損失引当金を計上することとしております。
技術的難易度の高い長期請負工事や海外でのカントリー・リスク等のある工事において、工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合等は、当社連結グループの業績を悪化させる可能性があります。
④完成工事高および完成工事原価の計上
成果の確実性が認められる工事契約については、履行義務の充足に係る進捗度(工事の進捗度の見積りはインプット法)に基づき完成工事高を計上しております。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高および完成工事原価が影響を受け、当社連結グループの業績を変動させる可能性があります。