E04324 Japan GAAP
前期
5,792.3億 円
前期比
97.3%
株価
5,219 (12/05)
発行済株式数
58,572,769
EPS(実績)
416.22 円
PER(実績)
12.54 倍
前期
599.0万 円
前期比
102.9%
平均年齢(勤続年数)
41.0歳(14.8年)
従業員数
12,235人(連結:30,672人)
当社グループは、当社、子会社71社、関連会社13社で構成され、当社が営む物流・機工の二事業に加えて、情報システム・人材派遣等のサービス事業を国内外において幅広く展開しております。
グループ各社の事業に関わる位置付けおよび事業の種類別セグメントとの関連は、次のとおりであります。
事業の系統図は、次のとおりであります。
(注) 当社グループの事業の位置付けについて、当社と当社グループとの関係を中心に記載しておりますが、
各グループ間の相互取引ならびに当社を経由せず直接得意先に対する取引も実施しております。
当連結会計年度における世界経済は、コロナ後のリバウンド需要の一巡、製造業・デジタル関連財の貿易停滞、急激な為替の変動等不透明な状況が続きました。米国では、雇用情勢が良好につき個人消費は底堅く推移していますが、資金調達環境の悪化から設備投資の低迷、製造業の不振が続いております。中国では、ゼロコロナ政策解除後、サービス消費が回復の動きをするも、輸出入の減速の動き、不動産不況の長期化等により景気回復ペースは力強さに欠けるものとなっております。東南アジアでは、インバウンド需要の回復、サービス業の雇用者回復により内需シェアが高い国々で経済成長が続いておりますが、輸出依存度が高い国々では景気回復ペースが鈍化しております。国内経済では、新型コロナウイルスの5類感染症移行後、経済活動の正常化が進み、インバウンド需要が回復し、価格転嫁の動きもみられます。一方、輸出が中心となる製造業における生産活動は、世界的な需要の低迷を受けて伸び悩んでおります。
このような経済情勢の下、当連結会計年度における売上高は5,635億47百万円と前連結会計年度に比べ2.7%の減収、利益面においては営業利益が352億16百万円と7.7%の減益、経常利益が366億31百万円と7.6%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は国内における賃上げ促進税制活用等により243億79百万円と2.3%の減益に留まりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
① 物流事業
港湾国際では、国内の海上コンテナ取扱いの減少や、これに伴うヤード内作業・保管作業が減少しました。また、国内外での海上・航空運賃の下落および輸出入取扱いが前期比減少したことに加え、プロジェクト輸送案件の減少がありました。3PL一般では、3PL作業の新規取扱等の増加はありましたが、一般物流では、中国国内需要の不調に伴う中国域内での自動車部品・消費財の輸送作業等が前期比減少したことに加え、国内では化成品・消費財の取扱いが減少しました。構内では、国内客先の単価改定の進展で堅調に推移しました。中東においても、第4四半期で追加コストが発生しましたが、前期比では減少し、新規構内作業の開始がありました。
以上の結果、物流事業全体の売上高は2,842億58百万円と前期比5.9%の減収、セグメント利益(営業利益)は80億57百万円と前期比18.4%の減益となりました。
なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は50.4%であります。
② 機工事業
設備工事では、昨年度完工した国内での鉄鋼関連改修工事、東南アジアでの石油化学製造設備の建設・化学関連設備増強工事等の剥落がありました。メンテナンスでは、国内SDM(大型定期修理工事)の工事量がマイナー年のために減少し、一方、東南アジア・中東での工事量は増加しました。
以上の結果、機工事業全体の売上高は2,526億11百万円と前期並みとなり、セグメント利益(営業利益)は251億22百万円と前期比3.7%の減益となりました。
なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は44.8%であります。
③ その他
鉄鋼・化学関連工事等への機材・資材貸出しの増加や、システム開発案件の受注・機器販売が増加しました。
以上の結果、その他全体の売上高は266億77百万円と前期比8.1%の増収、セグメント利益(営業利益)は18億45百万円と前期比12.6%の増益となりました。
なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は4.8%であります。
(2) 財政状態の状況
① 資産
当連結会計年度末における総資産は5,050億45百万円であり、前連結会計年度末に比べ233億84百万円増加しました。この増加の主な要因は、一部大型工事の完工による受取手形、売掛金及び契約資産の増加および時価の上昇に伴う投資有価証券の増加等によるものです。
② 負債
当連結会計年度末における負債の部は2,196億12百万円であり、前連結会計年度末に比べ104億84百万円増加しました。この増加の主な要因は、未払法人税、未払消費税の減少と社債、長期借入金の増加の差によるものです。
③ 純資産
当連結会計年度末における純資産の部は、2,854億33百万円であり、前連結会計年度末に比べ129億円増加しました。この増加の主な要因は、利益剰余金およびその他有価証券評価差額金の増加と自己株式の取得による減少の差によるものです。
その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末を0.1ポイント下回る55.8%、D/Eレシオについては前連結会計年度末より0.07ポイント増加し、0.26倍となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ39億53百万円減少し、当連結会計年度末残高は468億47百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は、217億31百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、協力会社に対する支払早期化の影響が一巡したことにより仕入債務の減少幅は縮小したものの、法人税等の税金支払い額の増加に加え、売上債権及び契約資産が増加したこと等により、資金の収入は115億45百万円減少しました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少額は、184億34百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、定期預金の預入による支出が増加したこと等により、資金の支出は19億円増加しました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少額は、91億42百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、自己株式の取得による支出が増加した一方、社債の発行による収入が増加したこと等により、資金の支出は19億63百万円減少しました。
当社連結グループが営んでおります事業では生産実績を定義することは困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 売上実績
当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社連結グループの事業では、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、各事業の売上実績を
記載しております。
2.主な相手先別の売上実績および当該売上実績の総売上実績に対する割合
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
① 既存事業の維持・領域拡大
物流事業においては、国内外における、物流診断や企画・提案営業により、新規お客様の獲得や既存事業領域の深耕拡大を図るとともに、お客様との適正な単価収受への交渉、国内外のお客様のサプライ・チェーンと消費財物流に資する3PLを中心とした物流領域の拡大に取り組み、その成果は着実に出ているものと考えております。中期目標に向けて、電気・電子部品、危険品を含む化成品など既存事業の中で特に優位性のある貨種をターゲットに、ノウハウの水平展開、同業他社との協業・提携によって国内外での事業拡大を図ります。また、デジタル化・省人化を促進し、業務の効率化やコスト削減を図るとともに、お客様等とのデータ連携を強化することで、サービスの付加価値向上、競争力強化を図ってまいります。
機工事業においては、当社のビジネスモデルを武器にお客様のアウトソーシングニーズを着実に取り込み、ここ数年は国内外において、特にメンテナンス事業が大きく伸長いたしました。これはお客様を取り巻く経営環境が大きく変化する中で、生産の効率化・基盤強化・環境関連投資等への旺盛なニーズに対して、当社の強みである動員力と現場力が選ばれてきた結果だと考えております。中期目標に向けて、既存事業の優位性を更に強化し、主要業界である鉄鋼や石油化学の需要を確実に取り込むとともに、カーボンニュートラル関連、インフラ関連や海外事業などの成長領域への取り組みを強化していきます。また、サービスの高度化を伴う生産性向上を図ってまいります。
② 現在から未来への持続的な収益力の確保(成長市場への挑戦)
長期経営戦略の1st Stage「変革期」として、「経営基盤強化」、「リスクマネジメント強化」を経営戦略に掲げ、持続的な収益力の確保を取り組んで参りました。
物流事業においては、コスト構造の見直しや適正単価収受の交渉を進め、採算性の低い拠点の集約や作業撤退等を実行することで事業体質を改善させました。また、グローバルネットワーク・グリーン物流の拡大、デジタル化施策の推進で生産性向上を進めてまいります。
機工事業においては、事業本部が主導し、大型プロジェクトの進捗管理を徹底することで、事業全体の収益性が向上いたしました。工事工程の見直しや新技術の応用による省力化を進めるとともに、協力会社も含めた要員・機材をグループ全体で管理し、その効率的な配置にも継続的に取り組んでおります。また、グローバルな要員の流動化、環境ビジネスの体制構築、新技術獲得などをつうじて事業基盤・成長基盤の強化を図ってまいります。
これらの取組結果として、世界経済低迷の影響があったものの大きく収益性を損なうことなく、安定した利益を生み出す収益体質を構築することができました。中期経営計画2026では、「売上高6,300億円以上」、「営業利益率6.7%以上」という目標を掲げ、更なる収益性の向上に取り組んでおります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社連結グループの主な資金需要は、事業運営に必要な労務費、外注費、材料費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、さらには当社連結グループの設備新設、改修等に係る投資であります。
上記以外にも、人の力を最大限に引き出すためのDX推進やカーボンニュートラルへの対応に加え、当社連結グループの企業価値向上に資するM&A等、新しいビジネスモデル構築のための成長投資の検討も行っております。
2027年3月期を最終年度とする中期経営計画2026では「資本効率性を重視しながら、持続的成長と企業価値の最大化を実現」としており、中期経営計画の4年間で創出が見込まれる営業キャッシュ・フロー1,800億円に、負債活用600億円を加えた2,400億円を財源にして、成長投資に1,600億円、株主還元に800億円を配分する計画としております。
株主還元については、連結配当性向40%水準を目安とし、自己株式の取得については、連結総還元性向70%水準(中期経営計画2026の4年間)を目安にして、適切な時期に実施します。また、自己株式の保有については、発行済株式総数の5%程度を目安とし、それを超える株式は原則として消却することとしております。
これらの必要資金は、まずは営業活動によるキャッシュ・フローと自己資金にて賄い、必要に応じ、適正な範囲内で金融機関からの借入、または社債発行等による資金調達によって対応して参ります。
手許の資金流動性につきましては、資金効率の向上に努めるとともに、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保しております。また、急激な金融環境の変化や突発的な資金需要への備えとして、迅速かつ機動的に資金調達ができるコミットメントライン契約を金融機関と締結しております。
なお、キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。
(3) 財政状態
当社連結グループでは、事業の選択と集中を実施し、不稼動・低稼働資産の集約・売却等による資産圧縮を行い、フリーキャッシュフローの有効活用を進める過程で、3PLや3PM(一括メンテナンス)の高度化、アジアを中心とした海外事業拡大、事業領域の拡大・新規領域への進出への投資の集中を図っております。
また、資金調達に関しては、営業キャッシュ・フローと負債の活用、設備投資の支出の状況、現預金残高の水準等を総合的に勘案し、適正な範囲内でかつ機動的に実施することを基本方針としており、その方針のもと、資金調達手段の多様化やグループ内余剰資金の有効活用等の各種施策を継続的に推進しています。
① 流動資産
当連結会計年度末における流動資産は2,617億66百万円であり、前連結会計年度末に比べ111億37百万円、4.4%増加しました。主な要因は、一部大型工事の完工による受取手形、売掛金及び契約資産の増加等によるものです。
② 固定資産
当連結会計年度末における固定資産は2,432億79百万円であり、前連結会計年度末に比べ122億46百万円、5.3%増加しました。主な要因は、時価の上昇に伴う投資有価証券の増加等によるものです。
③ 流動負債
当連結会計年度末における流動負債は1,073億37百万円であり、前連結会計年度末に比べ95億23百万円、8.1%減少しました。主な要因は、未払法人税、未払消費税の減少等によるものです。
④ 固定負債
当連結会計年度末における固定負債は1,122億74百万円であり、前連結会計年度末に比べ200億7百万円、21.7%増加しました。主な要因は、社債、長期借入金の増加等によるものです。
⑤ 純資産
当連結会計年度末における純資産は2,854億33百万円であり、前連結会計年度末に比べ129億円、4.7%増加しました。主な要因は、利益剰余金およびその他有価証券評価差額金の増加と自己株式の取得による減少の差によるものです。
当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末を0.1ポイント下回る55.8%となっております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社連結グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
① 繰延税金資産
当社連結グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
② 退職給付債務および退職給付費用
退職給付債務および退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績および将来の経済・市場環境の見通し等を基礎として設定しております。割引率および長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
③ 工事損失引当金
受注工事・作業の将来の損失に備えるため、未成工事・作業のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事・作業について、工事損失引当金を計上することとしております。
技術的難易度の高い長期請負工事や海外でのカントリー・リスク等のある工事・作業において、工事・作業の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合等は、当社連結グループの業績を悪化させる可能性があります。
④ 完成工事高および完成工事原価の計上
成果の確実性が認められる工事契約については、履行義務の充足に係る進捗度(工事の進捗度の見積りはインプット法)に基づき完成工事高を計上しております。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高および完成工事原価が影響を受け、当社連結グループの業績を変動させる可能性があります。