E04283 Japan GAAP
前期
2,572.3億 円
前期比
116.9%
株価
5,101 (04/25)
発行済株式数
81,960,739
EPS(実績)
332.18 円
PER(実績)
15.36 倍
前期
794.0万 円
前期比
110.4%
平均年齢(勤続年数)
40.4歳(16.0年)
従業員数
957人(連結:4,708人)
連結財務諸表提出会社(以下、当社という。)グループは、当社、子会社52社及び関連会社15社で構成され、倉庫事業を中核として陸上運送事業、港湾運送事業、及び国際運送取扱事業を総合的、一貫的に運営し、またビル賃貸業を中心とした不動産事業を併営しております。当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
物流事業
貨物の寄託を受けてこれを倉庫に保管し、あわせて庫入、庫出、その他の荷役を行う事業であって、当社のほか、国内では富士物流㈱、海外ではインドネシア三菱倉庫会社、上海菱華倉庫運輸有限公司等が倉庫事業を行っております。
貨物自動車による貨物の運送、利用運送又は運送取次を行う事業であって、このうち自動車運送(実運送)については、菱倉運輸㈱、九州菱倉運輸㈱等が行っております。
荷主又は船舶運航事業者の委託を受け、港湾において、貨物の船舶への積込又は船舶からの取卸のほか、はしけによる運送、上屋その他荷捌場への搬入、搬出、保管等を一貫して、又は個別に行う事業であります。このうち荷役については、当社は神菱港運㈱、菱洋運輸㈱等に委託しております。
国際間に輸送システムを整備し、各種輸送手段の有機的結合を図り、荷主の委託を受けて国際間の物品運送の取扱(国内における海運貨物取扱を含む。)を行う事業であり、国内においては富士物流㈱、ユニトランス㈱等、海外では米国三菱倉庫会社、欧州三菱倉庫会社等が当社輸送システムの一部を構成しております。
上記各事業に関連した付帯事業であり、ダイヤ情報システム㈱は物流情報システムの開発業務等を行っております。このほか、三菱倉庫(中国)投資有限公司は中国において事業会社の管理等を行っております。
不動産事業
ビル等の賃貸・管理のほか、駐車場・ショッピングセンターの管理、運営、各種建築工事の設計、請負、マンション分譲を中心とする不動産販売等を行う事業であります。当社は賃貸施設の管理、保守等をダイヤビルテック㈱、横浜ダイヤビルマネジメント㈱、㈱タクト等に委託しております。
事業の系統図は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の世界経済は、欧州で足踏みがみられるものの米国を中心に緩やかな持ち直しが続き、一部で弱さが残っていた中国でも持ち直しの動きがみられました。また、わが国経済は、このところの消費者物価の上昇による家計への影響が懸念されるなど一部に弱さがみられるものの、設備投資が持ち直したほか、個人消費が緩やかに持ち直しました。
こうした経済情勢にあって、当社グループを取り巻く事業環境は、ウクライナ侵攻等により世界的にインフレ傾向が続く中、物流業界においては、人手不足やエネルギー価格上昇によりコストが増加し、高水準を維持していた海上・航空運賃単価は下落傾向に転じたものの、通期全体では比較的好調に推移しました。一方、不動産業界においては、商業施設への客足が回復傾向にあるもののコロナ禍前の水準には戻らず、需給の緩みで賃貸オフィスビルの空室率が高止まりしているほか、電気料金等の上昇もあり、厳しい状況が続きました。当社グループ全体としては堅調に推移しました。
このような状況の下、当社グループは、IT等新手法を活用しつつ営業活動を推進し、物流事業では、医薬品・自動車関連等の配送センター業務の拡大、国際輸送貨物の取扱拡大に努め、不動産事業では、テナントの確保及び賃料水準の維持・向上に努めました。他方、コスト上昇に見合う適正料金の収受やコスト管理の徹底と業務の効率化を一層推し進め、業績の向上に努めました。
この結果、営業収益は、物流事業で、陸上運送事業で貨物取扱量が若干減少したものの、倉庫、港湾運送及び国際運送取扱の各事業において貨物取扱量が増加したほか、国際運送取扱事業において海上運賃単価上昇や為替円安の寄与もあり収入が増加したため、不動産事業で、不動産賃貸事業において前期に新型コロナウイルス感染症の影響により臨時休業を余儀なくされた商業施設の来場者数が回復した一方、東京地区の賃貸オフィスビルの空室率の上昇や、マンション販売事業における販売物件の減少により収入が減少したものの、全体として前期比433億6千3百万円(16.9%)増の3,005億9千4百万円となりました。他方営業原価は、物流事業で、貨物取扱量の増加等に伴い作業運送委託費が増加したため、不動産事業で、マンション販売物件の減少に伴い不動産販売原価等が減少したものの、全体として前期比373億円(16.3%)増の2,658億9千8百万円となり、販売費及び一般管理費は、連結子会社における人件費等の増加により、同11億8千万円(11.3%)増の116億6千7百万円となりました。
このため、営業利益は、物流事業で増益となったため、不動産事業で減益となったものの、全体として前期比48億8千2百万円(26.9%)増の230億2千7百万円となり、経常利益は、受取配当金や持分法による投資利益の増加により、同68億9千4百万円(29.8%)増の300億4千6百万円となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益で政策保有株式の縮減に伴う投資有価証券売却益や不動産賃貸ノンコア資産の売却による固定資産処分益の増加により、前期比93億3千3百万円(52.2%)増の272億2千6百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 物流事業
倉庫事業は、医薬品、飲料、自動車部品の取扱増加等により、営業収益は前期比9.3%増の639億8千万円となりましたが、陸上運送事業は、プロジェクト貨物の取扱減少等により、営業収益は同0.3%減の518億4千7百万円となりました。他方港湾運送事業は、コンテナ貨物の取扱増加等により、営業収益は前期比1.7%増の233億4千万円となり、国際運送取扱事業は、輸出入貨物の取扱増加のほか海上運賃単価上昇や為替円安の寄与もあり、営業収益は同57.9%増の1,162億1千9百万円となりました。
この結果、物流事業全体の営業収益は、前期比486億5千9百万円(22.6%)増の2,638億9千9百万円となりました。また営業費用は、貨物取扱量の増加等に伴い作業運送委託費が増加したため、前期比435億8千9百万円(21.6%)増の2,451億2千5百万円となりました。このためセグメント利益(営業利益)は、前期比50億7千万円(37.0%)増の187億7千4百万円となりました。
② 不動産事業
主力の不動産賃貸事業は、東京地区の賃貸オフィスビルの空室率の上昇があったものの、前期に新型コロナウイルス感染症の影響により臨時休業を余儀なくされた商業施設の来場者数が回復したため、営業収益は前期比2.7%増の305億3千1百万円となりました。その他の営業収益は、マンション販売事業における販売物件の減少等により、前期比44.9%減の76億6千7百万円となりました。
この結果、不動産事業全体の営業収益は、前期比54億6千3百万円(12.5%)減の381億9千9百万円となりました。また営業費用は、マンション販売物件の減少に伴い不動産販売原価等が減少したほか、前期に計上した大阪の新規取得施設に係る不動産取得税等の減少もあり、前期比52億7千万円(15.8%)減の280億7千5百万円となりました。このためセグメント利益(営業利益)は、前期比1億9千3百万円(1.9%)減の101億2千3百万円となりました。
なお、当社グループは中期経営計画[2022-2024]における最終年度業績目標として、営業収益2,600億円、営業利益200億円、ROE7%を掲げております。同計画初年度に当たる当連結会計年度の経営成績については、主に国際輸送事業において、運賃単価の大幅上昇や為替円安という要因があったため、営業収益3,005億9千4百万円、営業利益230億2千7百万円、経常利益300億4千6百万円、ROE7.8%となりました。
当社グループの主たる事業は、倉庫事業を中核とする物流事業及びビル賃貸を中心とする不動産事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産、受注及び販売の実績を区分して把握することは困難であります。
これに代えて、当連結会計年度におけるセグメント毎の主要業務の営業収益及び取扱高等を示すと、次のとおりであります。
① 総資産
当連結会計年度末の総資産は、減価償却に伴い「建物及び構築物」が減少したものの、物流事業の取扱増加等に伴い「現金及び預金」や「営業未収金」等が増加したため、前期末比115億2百万円増の5,736億8千9百万円となりました。
② 負債合計
当連結会計年度末の負債合計は、物流事業の取扱増加に伴い営業未払金等が増加したほか、事業拡大に伴い借入金が増加したため、前期末比48億2千9百万円増の2,192億5千6百万円となりました。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、配当金の支払や自己株式の取得を上回る「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上に伴い「株主資本」が増加したため、前期末比66億7千2百万円増の3,544億3千2百万円となりました。
④ 自己資本比率
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前期末を0.1ポイント下回る61.1%となりました。
⑤ 有利子負債
当連結会計年度末の有利子負債は、借入金の増加等により前期末に比べ30億1百万円増加し、1,077億7千5百万円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローの増加、投資活動によるキャッシュ・フローの減少、財務活動によるキャッシュ・フローの減少に現金及び現金同等物に係る換算差額(7億5千万円の増加)を加えた全体で97億9千2百万円の増加となり、現金及び現金同等物の期末残高は622億9千7百万円となりました。
なお、当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー(97億9千2百万円の増加)は、前期(88億6千1百万円の減少)に比べ、186億5千3百万円上回りました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却による資金留保等により、404億8千8百万円の増加となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前期(362億1千6百万円の増加)に比べ、42億7千2百万円上回りました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等があったものの、投資有価証券の取得による支出、固定資産の取得による支出等により、143億7千9百万円の減少となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前期(292億2千1百万円の減少)に比べ、148億4千1百万円上回りました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金が増加したものの、自己株式の取得による支出、配当金の支払等により、170億6千7百万円の減少となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前期(165億1千8百万円の減少)に比べ、5億4千8百万円下回りました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、財務健全性の維持を原則としつつ、運転資金並びに当社グループの成長、拡大を図るための設備投資資金については、主に事業活動から生じる自己資金で賄うほか、必要に応じて金融機関からの借入及び社債の発行により資金調達を行っております。なお、次期のキャッシュ・フローについては、次期の利益及び減価償却による資金の留保や投資有価証券の売却による収入等を見込む一方、投資有価証券の取得のほか、東京におけるデータセンター建設工事及び神戸における須磨海浜水族園・公園再開発事業等の設備投資(固定資産の取得)による支出、社債の償還、配当金の支払い、自己株式の取得等が予定されるため、現金及び現金同等物の期末残高は当期末を下回ると予想しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。