売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E37742 

売上高

128.7億 円

前期

122.3億 円

前期比

105.2%

時価総額

117.0億 円

株価

425 (04/25)

発行済株式数

27,540,000

EPS(実績)

20.53 円

PER(実績)

20.71 倍

平均給与

645.1万 円

前期

648.1万 円

前期比

99.5%

平均年齢(勤続年数)

31.1歳(5.1年)

従業員数

219人(連結:330人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社、当社の子会社及び関連会社)は、当社、連結子会社11社(株式会社マイクロアドデジタルサイネージ、株式会社エンハンス、株式会社cory、他8社)で構成され、「Redesigning The Future Life」というビジョンのもと、データとテクノロジーの力によって、マーケティングを変革し、人々の生活をより良いものに、より充実したものにすることを目指して事業運営を行ってまいりました。

 当社グループの事業はデータプラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、セグメントを構成する主要なサービスとして、①データプロダクトサービス、②コンサルティングサービスの2つのサービスによって事業展開しております。

 「データプロダクトサービス」は、自社開発したプロダクト販売による収穫逓増型のビジネスモデルの事業にあたり、「コンサルティングサービス」は、主に他社の広告サービスの代理販売を軸とした労働集約的なビジネスモデルの事業になります。それぞれのビジネスモデルと、提供する事業の関係は下図のとおりです。特に当社では収益性の高い「データプロダクトサービス」に属する「UNIVERSE」へ注力しており、当該領域のプロダクト開発への投資を積極的に行うことで、データプラットフォーム事業の拡大を目指してまいります。

※画像省略しています。

 

 「データプロダクトサービス」は、企業のマーケティング課題を解決するための、デジタル広告ソリューション群になります。外部から仕入れたデータを活用し、消費者の行動特性をとらえ、その行動データに基づいた広告配信を行うことで、企業の様々なマーケティング課題の解決をおこなう「UNIVERSE」と、デジタルサイネージによる広告配信サービスを提供しております。「データプロダクトサービス」に属する「UNIVERSE」のビジネスモデルは下図の通りです。

※画像省略しています。

「データプロダクトサービス」に属する「デジタルサイネージ」のビジネスモデルは下図の通りです。

※画像省略しています。

 「コンサルティングサービス」は、企業のデジタルマーケティングにおける課題を解決する為に当社グループの製品に加え、他社の製品を組み合わせて提供することで、企業のマーケティング活動の支援を行う海外向けコンサルティングサービスと、インターネットメディア企業の広告収益の最大化を支援するメディア向けコンサルティングサービスを提供しております。それぞれのビジネスモデルは下図の通りです。

 

※画像省略しています。

 

また、当社のデータプラットフォーム事業を構成する、二つのサービスそれぞれの特徴は以下のとおりです。

 

(1)データプロダクトサービス

データプロダクトサービスは、1.UNIVERSE、2. 株式会社MADSが提供する「デジタルサイネージサービス」の二つのサービスを総称したものを指します。

 

1.UNIVERSE

 消費者の購買行動や消費行動のプロセスは、業界や業種によって多種多様であり、消費者は多様なプロセスを経て、企業の製品やサービスの認知・購買に至ります。UNIVERSEは、そのような多様な購買・消費行動を分析し、その分析データを活用して、顧客企業の様々なマーケティングの課題解決を行うサービスです。UNIVERSEでは、自社開発した二つのプラットフォームによって構成されております。

一つ目がデータプラットフォームである「UNIVERSE DATA PLATFORM」になります。「UNIVERSE DATA PLATFORM」では、消費者のライフスタイルの変化をとらえるデータや、消費者の性別・年齢等を推定したデモグラフィックデータなどの一般的なデータ群と、様々な購買・消費行動をとらえるための、業界・業種に特化したデータ群が蓄積されております。具体的なデータ例としては、自動車購買までの消費行動を分析する際に活用するデータとして、各種自動車関連のインターネットメディアの閲覧履歴等のデータや、飲料・食品業界の消費行動を分析する際に活用するデータとして、コンビニ、スーパーマーケット等の実店舗での決済データやポイント利用データ等になります。これらのデータは、2023年9月時点で215の外部データ保有企業・メディアからデータを収集・集約して構成されております。その大量のデータを組み合わせて分析を行うことで、消費者の様々な購買消費行動の分析を行います。

二つ目が広告プラットフォームである「UNIVERSE Ads」になります。顧客企業のマーケティング課題を解決する為に「UNIVERSE DATA PLATFORM」によって分析されたデータを活用し、UNIVERSE Adsを通して適切な消費者に広告配信を行います。UNIVERSE Adsは「RTB(Real Time Bidding)」(注1)という技術を用いて、消費者毎にリアルタイムに最適な広告を選択し、オークション形式で広告配信を行うプラットフォームです。UNIVERSE Adsでは社内外の様々なSSP(注2)と接続することで、多くの消費者へ広告配信を行うことが可能です。広告配信技術であるRTBでは、オークションによって広告配信金額が決定する為、顧客企業のマーケティングの費用対効果を最大化する為には、最適な消費者に、最適な金額でオークションへの入札を行う必要があります。そこで、UNIVERSE Adsでは、AIを活用した最適化アルゴリズムを導入しております。AIによる分析では、企業の製品・サービスのカテゴリ、掲載面の品質やコンテンツの内容、配信を行う時間、広告クリエイティブ(注3)の種類(静止画・動画・ネイティブ広告(注4)等)など、広告の費用対効果を決定づける数十の変数を解析し、最適なアルゴリズムのモデルを構築することで、リアルタイムに最適解を導き出し、広告配信(入札)を行っております。この独自のAIアルゴリズムは配信・入札アルゴリズムを改善するための専任のデータサイエンティストが、様々なモデルの比較検討を行いながら日々改良を重ねております。加えて、UNIVERSE DATA PLATFORMとのリアルタイムなデータ連携によって、特定の製品カテゴリの比較検討を開始した消費者や、最終的な購買検討段階に移行した消費者、特定商品の購買意欲が急激に高まった瞬間など、消費者ひとりひとりの製品認知・購買プロセスの段階に応じて広告配信を行うことで、顧客企業のマーケティング課題を解決します。

顧客企業へのサービス提供を行う際には、業界・業種毎のプロダクトとして、二つのプラットフォームを組み合わせた製品を多数展開しております。主要なプロダクトとして、BtoB業種に特化した「シラレル」、飲料・食品業界に特化した「Pantry」、医療・製薬業界に特化した「IASO」、自動車業界に特化した「IGNITION」、エンタメ業界に特化した「Circus」などがあります。これらのプロダクトを顧客企業が利用し、広告配信を行う上で、「UNIVERSE」のアカウントを発行いたします。なお、当社プロダクトを利用する企業は、その企業が提供する製品ブランドやサービス毎に広告宣伝費を設定しているケースが多いため、単一企業であっても製品ブランドやサービス毎に複数のアカウントを発行しております。

UNIVERSEにおける、二つのプラットフォームと各プロダクトの構造を図示したものが下記になります。

※画像省略しています。

 

また、2023年9月時点で、これらの業界業種毎のプロダクトは19業種まで拡大しております。それぞれの業種毎の売上シェアは下図の通りとなっております。特定の企業や業種に大きく依存することなく、様々な企業に対して、当社製品を提供しております。※売上シェアは2023年度9月期実績

※画像省略しています。

 

 広告代理店との取引においては2023年度9月期実績で約690社の代理店と取引を行っております。

また、これらの販売チャネルを通じて開設された「UNIVERSE」のアカウント数は2023年度9月期実績で、約2,500アカウントとなっております。

 

2. デジタルサイネージサービス

屋外広告や、交通広告のデジタル化の促進と、インターネットを通じたネットワーク化による一元的な広告配信サービスとして、株式会社MADSによる「MONOLITHS」の提供を行っております。「MONOLITHS」はデジタルサイネージ(注5)を設置しているロケーションオーナー(注6)向けのCMS(注7)で、ロケーションオーナーは「MONOLITHS」によりデジタルサイネージに掲出するコンテンツをWebブラウザよりリアルタイムで配信管理することができます。「MONOLITHS」の機能の一つとして広告配信機能があり、ロケーションオーナーは「MONOLITHS」の管理画面上より広告枠の設定が可能で、ロケーションオーナー独自でデジタルサイネージ広告事業を展開する際のアドサーバーとしての機能と、その広告枠をアドネットワーク(注8)の広告在庫として提供する機能を有しています。

株式会社MADSは「MONOLITHS」を通じた広告在庫をアドネットワーク化しており、これらの広告枠を広告主企業や広告代理店に販売しております。「MONOLITHS」アドネットワークは、天気、気温などの外部データとの連携が可能で、従来の屋外広告・交通広告では実現が難しかった天気、気温などの変化によってサイネージに掲出する広告内容をリアルタイムに変更させるなどの配信管理が可能です。
 また、広告業界の流れとしてPC,スマートフォンといったデバイスのみならずデジタルサイネージ広告枠への既存DSP経由での広告配信もスタートしており、その際には「MONOLITHS」はSSPとしての役割を果たします。現在「MONOLITHS」は複数のDSP(注9)との接続を果たしており、今後もその接続先を拡充していく計画です。

「MONOLITHS」を通じて広告配信可能なデジタルサイネージは、主要都市の大型屋外ビジョン、ドラッグストア、スーパー、美容サロン等の商業施設、バスやタクシーなどの交通広告と多様なロケーションで、2023年9月時点で13万面を超える規模に拡大しております。デジタルサイネージサービスにおいては、広告主及び広告代理店からロケーションオーナーへ支払われる広告収益の一部をプラットフォーム利用料とし、また、ロケーションオーナーからのCMS利用料を、自社の収益としています。

 

(2)コンサルティングサービス
コンサルティングサービスは1.メディア向けコンサルティングサービス、2. 海外向けコンサルティングサービスの二つのサービスを総称したものを指します。

1.メディア向けコンサルティングサービス

 メディア向けコンサルティングサービスは、インターネット広告を掲載するメディア企業向けの広告収益最大化サービスとして、「MicroAd COMPASS」の提供を行っております。MicroAd COMPASSは2023年9月時点で2,100を超えるインターネットメディアに導入されており、RTBを通じて様々なDSP(注9)と接続しております。RTBによるオークションによってリアルタイムに最も収益が見込まれる広告を瞬時に選択することで、メディア企業の広告収益の拡大に貢献しております。MicroAd COMPASSでは、メディア企業へ支払われる広告収益の一部をプラットフォーム利用料として自社の収益としています。

2. 海外向けコンサルティングサービス

 企業のデジタルマーケティングにおける総合的な課題解決を行うコンサルティングサービスとして、海外子会社(台湾:台湾微告股份有限公司)が現地企業及び進出済日系企業にサービス提供を行っております。具体的な内容としては、各企業に対する現地でのプロモーション施策の立案、広告枠の買付け及び運用、広告クリエイティブの制作などになります。

また、台湾においては、そのサービスの一環として、独自のネイティブ広告プラットフォーム「COMPASS-FIT」の提供、及び自社運営の訪日インバウンドWebメディア「Japaholic」でのタイアップ広告などマーケティングサービスの提供を行っております。

 海外コンサルティングサービスでは顧客企業に対するメディア買付業務、メディア運用業務、クリエイティブ制作業務などの各対価を収益としております。台湾での自社独自サービスは、デジタルマーケティングサービスを提供する競合他社に対しての営業上の差別化要因となる点、FacebookやGoogle及び台湾現地企業が提供するサービスを販売した場合と比較して自社サービスを販売した方が粗利率が高く収益性に優れる点を理由に展開しており、今後も強化していく方針であります。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

(注)1.RTB:Real Time Biddingの略称。広告主側でオーディエンスごとにリアルタイムに広告枠の入札を行うことが可能な仕組み。補足説明を参照。

2.SSP:Supply Side Platformの略称。RTBによる広告取引を行う際のメディア企業側のプラットフォーム。DSPからの入札のオークション機能と広告配信機能を備える。RTBの補足説明を参照。

3.クリエイティブ:広告として制作されたコンテンツ。

4.ネイティブ広告:デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告。

5.デジタルサイネージ:屋外・店頭・交通機関などあらゆる場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器

を使って情報を発信するメディアの総称

6.ロケーションオーナー:デジタルサイネージの設置場所を提供及びデジタルサイネージを管理運営する企

業等

7.CMS:Contents Management Systemの略称。デジタルサイネージに配信するコンテンツや広告の放映管理を

オンラインで提供するシステム

8.アドネットワーク:複数の企業の提供する広告枠をインターネットを通じてネットワーク化し、配信条件

に合致した広告枠に対して一斉に広告配信を可能にするシステム

9.DSP:Demand Side Platformの略称。RTBによる広告取引を行う際の広告主側のプラットフォーム。SSPによるオークションへの入札機能と広告配信機能を備える。RTBの補足説明を参照。

 

 

<補足説明:RTBによるインターネット広告の配信の仕組み>

 RTBによる広告配信は、広告枠が設置されたWEBサイトにユーザーがアクセスすると、その広告枠の1回表示毎にユーザーの興味関心に適した、広告掲載メディアにとって最も高単価な広告をオークション方式で選択し配信する仕組みです。

 

 広告主企業はDSP(Demand Side Platform)と呼ばれるサービスに、オークションへの入札条件や、広告素材の入稿、どのようなユーザーに広告を配信すべきかといった条件を予め設定します。ユーザーが広告枠の設置されたWEBサイトを閲覧すると、SSP(Supply Side Platform)と呼ばれるサービスに広告リクエストが送信されます。SSPは広告リクエストを受け取ると、接続された複数のDSPへ入札リクエストを送信します。DSPはSSPから受け取った入札リクエストを基に、そのユーザーに最も適した広告を選択しSSPへ入札します。SSPは複数のDSPから入札された広告でオークションを行い、最も高い価格の広告をその広告枠とユーザーへ配信します。この一連の処理をおよそ0.1秒で実行します。

 

 RTBによって、広告主は1回の広告配信毎に、最も適したユーザーへ広告配信が可能になり、広告効果の最大化が期待できます。メディア企業は、1回の広告表示毎に最も高単価な広告を配信することが可能になり、広告収益の最大化が期待できます。

 

 

※画像省略しています。

 

23/12/20

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当社グループの事業は、データプラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、セグメントを構成する主要なサービスとして、データプロダクトサービス、コンサルティングサービスの2つのサービスによって事業展開しております。当連結会計年度における、それぞれのサービスの経営状況は下記のとおりです。

 データプロダクトサービスは「UNIVERSE」と、株式会社MADSが提供する「デジタルサイネージサービス」の2つのサービスが属しております。「UNIVERSE」とは企業のマーケティング活動を支援するデータプラットフォームです。様々な業界・業種に特化した多様なデータを保有し、それらを有機的に統合分析することで、消費者の購買プロセスの可視化と予測、そのデータを活用した広告配信から顧客属性等の分析レポート作成まで幅広く企業のマーケティング活動を支援しております。「UNIVERSE」の拡大にあたっては、2023年9月期より顧客属性に特化した営業組織へと改変することで、より顧客属性に応じた機動的な製品開発や製品提供体制を整えております。また、リモートワーク中心に変化している顧客企業に対して、オンラインセミナーの開催やオンラインでのリード獲得を目的としたインサイドセールスに特化する新しい営業組織を構築いたしました。

 これらの顧客属性に応じた営業組織の強化に加え、新たなデータパートナーとの提携による業種別プロダクトの性能強化や、地方自治体向けの「まちあげ」や、2024年からはじまる新NISAの口座開設を支援する金融業種向けの製品、人材採用に向けた「マーブル」など、新しい業種に向けた製品の提供を開始しております。これらの施策によって、より顧客のニーズや規模に合致したサービス提供を行い、主要なKPIである稼働アカウント数の順調な拡大を実現しております。

 デジタルサイネージサービスは、小売店舗や美容サロンなどに設置されたサイネージをネットワーク化し、一元的な広告配信を行うサービスとして「MONOLITHS」を提供しております。デジタルサイネージサービスは、期初からの計画通り一部のパートナーとの契約更改によって第3四半期より売上・粗利が減少しておりますが、スーパーマーケットやネイルサロン等のリテール領域への注力によって、再成長を狙ってまいります。

 これらの結果、データプロダクトサービスの当連結会計年度の売上高は6,008百万円となりました。

 

 コンサルティングサービスは、「メディア向けコンサルティングサービス」と、「海外コンサルティングサービス」の2つのサービスが属しております。メディア向けコンサルティングサービスは、日本国内においてインターネットメディアの広告枠を預かり、様々な広告を組み合わせることでメディア企業の広告収益を最大化するサービスを提供しております。特に当社が提供する「MicroAd COMPASS」においてはメディア企業に対する広告枠の企画提案などによるサポート体制の強化によって利益率が改善しております。

 海外コンサルティングサービスは、台湾を中心としたデジタルマーケティングのコンサルティングサービスを提供しております。海外拠点の売却や、特定の大手広告主の予算削減等により、売上高は前年比でマイナス成長となっておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小することで訪日観光客が増加しており、日系企業のインバウンド需要が拡大しております。加えて、日系企業の海外進出などのアウトバウンドの需要も増加しており、そのような需要の拡大に向け様々なサービスの提供を新たに開始しております。

 これらの結果、コンサルティングサービスの当連結会計年度の売上高は6,859百万円となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は12,868百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益は833百万円(前年同期比32.9%増)、経常利益は738百万円(前年同期比24.6%増)となりました。また、今期より新たに開始したオルタナティブデータを使用した投資事業において、最適モデルの検証構築を進める過程において連結で有価証券運用損が24百万円発生しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は565百万円(前年同期比13.9%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は5,019百万円となり、前連結会計年度末に比べて9百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が310百万円減少したこと、並びに受取手形及び売掛金が130百万円減少したことによるものであります。固定資産は1,824百万円となり、前連結会計年度末に比べて928百万円増加いたしました。

これは主に投資有価証券が423百万円増加したこと、並びにソフトウエアが106百万円増加したことによるものであります。この結果、総資産は、6,844百万円となり、前連結会計年度末に比べ919百万円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は3,033百万円となり、前連結会計年度末に比べて36百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が300百万円増加したことによるものであります。固定負債は81百万円となり、前連結会計年度末に比べて25百万円増加いたしました。この結果、負債合計は、3,114百万円となり、前連結会計年度末に比べ61百万円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は3,729百万円となり、前連結会計年度末に比べ857百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金も565百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は45.4%(前連結会計年度末は39.2%)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて310百万円減少し、2,984百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、266百万円の資金獲得(前年同期は713百万円の資金獲得)となりました。資金獲得の主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上並びに減価償却費の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、1,019百万円の資金減少(前年同期は413百万円の資金減少)となりました。資金使用の主な要因は、投資有価証券の取得による支出並びに無形固定資産の取得による支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、421百万円の資金獲得(前年同期は681百万円の資金獲得)となりました。資金獲得の主な要因は、短期借入金の増加並びに株式の発行に伴う収入によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループの事業セグメントは、データプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

売上高(千円)

前年同期比(%)

データプロダクトサービス

6,008,812

126.8

コンサルティングサービス

6,859,655

91.6

合計

12,868,467

105.2

 (注)1.データプロダクトサービスとは、データプラットフォーム事業を構成する主要サービスである「UNIVERSE」と株式会社MADSが提供する「デジタルサイネージサービス」の2つのサービスを総称した名称です。

2.各サービス間の内部売上高は、調整後の金額を記載しております。

3.外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要としております。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

なお、当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

当連結会計年度における総売上高は12,868百万円(前年同期比105.2%)となりました。

当社グループの事業は、データプラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、セグメントを構成する主要なサービスとして、データプロダクトサービス、コンサルティングサービスの2つのサービスによって事業展開しております。当事業年度における、それぞれのサービスの売上高の状況は下記のとおりです。

データプロダクトサービスは、主力製品である「UNIVERSE」の販売に注力しており、当該領域のプロダクト開発や販売リソースへの投資を積極的に行っております。2022年9月期より営業組織体制の見直しを実施し、下記の顧客属性毎に特化した営業組織へと改変することで、より顧客属性に応じた、機動的な製品開発や製品提供体制を整えております。

 

・顧客企業の製品やサービスの認知に重点を置くブランドマーケティング領域

・スマートフォンアプリやECサイトなどの直接的な広告効果を重視するダイレクトマーケティング領域

・その他の中小顧客を中心とした領域

 

これら3つの領域毎に製品開発~営業活動の戦略を策定し実行することで、より顧客のニーズや規模に合致したサービス提供を実現しております。加えて、リモートワーク中心に変化している顧客企業に対して、オンラインセミナー等を通じた新しい商品販売体制を構築することで、コロナ過以降の新しいワークスタイルに合わせた販売体制の強化を行っております。以上の施策により、当連結会計年度の「UNIVERSE」の売上高を構成する稼働アカウント数は5,978件となっており、前年比25%増まで拡大致しました。また、業種別製品の性能強化やリピート利用による発注金額の拡大によって、稼働アカウントの平均単価は前年比8%増となり、アカウント数の増加に加えて、顧客単価に関しても増加することで、UNIVERSE全体の売上高が拡大しております。

 

データプロダクトサービスに属する、「デジタルサイネージ」においては、屋外広告や交通広告をデジタル化し、インターネットを通じてネットワーク化することで、広告配信を行う事業となりますが、タクシー向けサイネージがパートナー企業との契約更改によって、売上および利益が減少しました。タクシーサイネージの減少分を補う目的で、美容サロン向けタブレットメディア「OCTAVE」を新たに開始することで、24年度に向けた再成長の準備を行っております。

 

コンサルティングサービスに属する「メディア向けコンサルティング」においては、メディア企業の広告収益最大化を実現するコンサルティングサービスですが、23年度においては緩やかな売上成長で推移いたしました。一方で提供するサービスの改善により、粗利率が向上し売上総利益は増加しております。

 

コンサルティングサービスに属する「海外向けコンサルティング」においては、当社グループが事業拠点を有する台湾を主とする海外各国でデジタル広告市場の成長に乗じて業績の拡大を目指してまいりました。台湾においては大手顧客の取引額減少の影響を受け、前年度をやや下回る水準で業績推移しました。訪日観光客向けのインバウンドマーケティングや、日本企業の海外進出におけるアウトバウンドマーケティングにおいて、複数のサービスを開始しており。24年度のインバウンド・アウトバウントの需要拡大に向けた準備を行っております。

 

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は8,739百万円(前年同期比103.5%)となりました。当連結会計年度は、利益率の高いデータプロダクトの売上に占める割合が拡大した結果、原価率は67.9%となりました。前連結会計年度の売上原価率69.0%より1.1ポイント減少しております。以上の結果、当連結会計年度におけ売上総利益は4,129百万円(前年同期比109.1%)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,296百万円(前年同期比104.3%)となりました。増加の主な要因は事業拡大のため採用を強化したことによる採用研修費の増加になります。売上高に対する割合は25.6%となり、前連結会計年度の25.8%より0.2ポイントの減少となりました。以上の結果、当連結会計年度における営業利益は833百万円(前年同期比132.9%)となりました。

 

d.営業外損益、経常利益

当連結会計年度において受取和解金等により営業外収益は18百万円、為替差損等により営業外費用は113百万円となりました。結果、当連結会計年度における経常利益は738百万円(前年同期比124.6%)となりました。

 

e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純損失

当連結会計年度において主な特別利益として投資有価証券売却益42百万円を計上いたしました。結果、親会社株主に帰属する当期純利益は565百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益496百万円)となりました。

 

③ 経営上目標とする客観的な指標について

 当社グループの継続的な企業価値向上を達成するために、経営指標としては売上高、営業利益の成長を重視しております。これら経営指標を達成する為に、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、データプロダクトサービスにおける「UNIVERSE」の稼働アカウント数の拡大を重視しております。UNIVERSEでは顧客企業のアカウント開設後、実際に製品やサービスのマーケティングを行う月ごとに発注申し込みを行うことで、当該アカウントによる広告配信が可能になります。この際の月ごとの発注~利用の件数を「稼働アカウント数」として経営指標を達成する為に重視する指標としております。

当該指標について、「② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載の通り、当連結会計年度においては、営業組織体制の見直し・強化によって稼働アカウント数(発注件数)は前年比125%の成長となり、順調に推移しているものと認識しております。

 

 

重視する指標

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

  至 2023年9月30日)

稼働アカウント

(発注件数)

件数

前年同期比(%)

5,978

125.0

(注)UNIVERSEの稼働アカウントのうち、外部データを活用した広告配信を行うアカウントをデータプロダクトサ

ービスに分類し、外部データを活用しない旧来型の広告配信を行うアカウントをコンサルティングサービス

に分類しております。2022年9月期まではこれらを合算した稼働アカウント数を重視する指標としておりま

したが、2023年9月期以降は、注力しているデータプロダクトサービスに該当するアカウント数を重視する

指標として変更しております。

 

④ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・

フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

⑤ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容

a.キャッシュ・フローの状況分析

キャッシュ・フローの状況の詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものは広告媒体の仕入れ費用及び人件費等の営業費用であります。当社は、運

転資金につきましては「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び銀行借入金にて賄う方針であります。今後

は、借入金の総額を減少させつつも、資金需要の必要性に応じて柔軟に対応し、流動性リスクを適切にコントロ

ールしてまいります。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2事業の状況 3事業等のリスク」をご参照下さい。