売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS




E02542 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績の概況

当中間連結会計期間における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりに加え、インフレ圧力による影響が継続する中、米国では良好な雇用環境や底堅い個人消費によって景気は堅調に推移し、東南アジアではサプライチェーン再編の動きに伴う生産拠点の移転などが輸出の復調を牽引し、好影響をもたらしました。一方、中国では輸出は増加傾向にあるものの、長引く不動産市場の低迷により景気減速傾向が継続しました。

わが国経済は、設備投資の増加基調が持続するとともに、インバウンド需要が拡大し個人消費も緩やかな回復基調にある一方で、原材料費の高止まりに円安の影響も受けた輸入コストの上昇に加えて原油価格高騰の懸念も高まり、さらには人件費や物流コストも増加が続くなど、依然として不透明な状況が継続しました。

当社グループにおきましては、2027年3月期までの3年間を対象とする新たな中期経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2026」を策定し、本中期経営計画の3年間累計の連結経常利益55億円以上を目標として掲げ、安定した収益確保や総資産の効率的運用により自己資本比率をさらに向上させつつ、資本コストを上回る収益性の維持に取組んでおります。また、従来の繊維関連を事業開発関連に再編し、社会課題の解決やサステナブルな社会の実現を目指した新規事業および新たなビジネスモデルの開発をこれまで以上に強力に進めるとともに、競争力のある事業ポートフォリオの組成により安定した収益を確保してまいります。

当期間における当社グループの売上高は、前年度に行った繊維事業からの一部撤退により減少したことなどで、全体では19,702百万円前年同期比3.2%減)となりました。

利益面では、食品関連の冷凍食品分野において、仕入コストの急激な上昇に対応した販売価格調整による利益率の回復が大きく寄与した前年同期とは対照的に、円安の長期化による仕入コスト上昇や物流コストの増加に対して取組んだ販売価格調整の当期間内における寄与が限定的で利益率が低下したことにより、営業利益は600百万円前年同期比37.3%減)、経常利益は575百万円前年同期比44.8%減)となりました。また、特別利益に不動産売却に伴う固定資産売却益を計上し、親会社株主に帰属する中間純利益は501百万円前年同期比38.2%減)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

なお、当中間連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

食品関連

食品業界の輸入食材を取り巻く環境は、国内における経済活動の正常化の動きが進み、インバウンドの回復を含め、幅広い業態において食品需要に回復の動きがみられるものの、外食産業をはじめ各分野での人手不足の問題が継続しました。また海外仕入国での工場経費などの高騰や国内においても物流コスト、人手不足対策の人件費上昇などのコストアップ要因が依然として継続しました。

このような状況の中、当社グループの冷凍食品分野では、強みである品質管理体制を活かした医療老健施設向けなど品質管理要求の高いルートへの販売に引き続き注力しながら、幅広い業態で回復の動きをみせた需要を取込むべく生産から物流管理にわたるサプライチェーンの安定化による強みを発揮したことで、冷凍野菜・冷凍調理品の販売量は増加しましたが、価格高騰による消費低迷が続いた冷凍水産加工品の販売不振が影響し、また台風10号の影響もあり全体として売上は減少しました。また想定を超えた円安基調の長期化による仕入コスト上昇に対して販売価格調整に取組みましたが、当期間内での寄与が限定的となったことから利益は大幅に減少しました。

農産分野は、円安基調における市場の仕入姿勢の慎重化の動きが継続したことに加え、主力のカシューナッツをはじめとしたナッツ類の価格が高止まりし、販売量が減少したことで、売上・利益ともに減少しました。

その結果、食品関連の売上高は15,719百万円前年同期比3.1%減)、セグメント利益は836百万円前年同期比29.3%減)となりました。

 

物資関連

輸出事業を取り巻く環境は、半導体不足の緩和や国際物流の回復による世界経済の活動再開に加えて円安傾向などの要素によって好転し、輸出数量は緩やかな増加傾向が続きました。

このような状況の中、当社グループの機械機器・金属製品分野では、鋳物の輸入販売が減少した一方で、北米向け等の試験機器の取扱いが伸長し売上は増加しましたが、建設機械の取扱いが先送りとなったこともあり、利益は減少しました。

また、防災関連分野では、新規現地調査案件への移行の過渡期にあたり、売上・利益ともに大幅に減少しました。

国内における住宅建設関連については、集合住宅着工数が増加したこともあり、当社グループの建築金物・資材分野では、建築金物・輸入ガラスともに堅調に推移し、売上は増加、利益はほぼ横ばいとなりました。

生活用品分野では、オーラルケア製品と毛材の販売が伸長したことで、売上・利益ともに増加しました。

その結果、物資関連の売上高は1,862百万円前年同期比2.0%減)、セグメント利益は214百万円前年同期比16.9%減)となりました。

 

 

電子関連

電子部品業界は、在庫調整局面の解消と半導体不足の緩和やサプライチェーンの安定化による着実な回復基調が期待されるものの、産業機器市場向けは当面は弱含みが予想され、民生市場でもスマートフォンの需要低迷傾向からの回復は緩やかなものとなりました。

当社グループのセンサ機器分野では、粒子計測機器や民生用途の湿度センサが堅調に推移したものの、車載用途のホコリセンサ・湿度センサがともに減少したことから、売上・利益ともに減少しました。

計測・試験機器分野では、吸収分光式水分計測機器の販売が大幅に伸長したことに加え、輸送や梱包に係る各種試験機も増加したことから、売上・利益ともに大幅に増加しました。

コンデンサ分野では、産業機器用途などの減少により、売上・利益ともに大幅に減少しました。

その結果、電子関連の売上高は1,917百万円前年同期比0.1%減)、セグメント利益は160百万円前年同期比7.2%増)となりました。

 

事業開発関連

当中間連結会計期間より、報告セグメントの変更を行い、繊維関連を再編し、新規事業の開発および新たなビジネスモデルの開発を行うとともに将来性が見込まれる事業の発展に取組むことを目的とした事業開発関連を報告セグメントに加えました。

社会課題の解決やサステナブルな社会の実現を目指した新規事業や新たなビジネスモデルの開発については、専任の部署が鋭意調査・研究を継続しております。

育成事業としてのアパレル通販分野では、テレビショッピング向けの既存の取扱いブランドに加え、新たにデビューした新規ブランドの夏物および秋物商材の販売が好調に推移しました。また、繊維事業からの一部撤退により売上は大幅に減少しましたが、採算性は改善し、損益は大幅に改善しました。

また、同じく育成中の食品輸出分野では、香港の小売市場の低迷により荷動きが鈍化したことで、香港向けの菓子類などの輸出が減少しました。

その結果、事業開発関連の売上高は203百万円前年同期比36.2%減)、セグメント利益は24百万円の損失前年同期は68百万円の損失)となりました。

 

※ セグメント利益は、報告セグメントに帰属しない一般管理費等配賦前の経常利益の金額に基づいております。

 

 

(2) 財政状態の概況

当中間連結会計期間末の資産は25,340百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,233百万円の減少となりました。これは売上債権が440百万円、現金及び預金が245百万円、投資有価証券が時価の下落に伴い236百万円、棚卸資産が229百万円減少したことなどによるものであります。

また、負債は17,673百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,287百万円の減少となりました。これは長短借入金が823百万円、賞与引当金が120百万円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が83百万円減少したことなどによるものであります。

一方、純資産は7,667百万円であり、前連結会計年度末に比べて53百万円の増加となりました。これはその他有価証券評価差額金などのその他の包括利益累計額が136百万円減少した一方で、利益剰余金が配当金の支払いはあったものの親会社株主に帰属する中間純利益の計上により173百万円増加したことなどによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの概況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から245百万円減少し、1,214百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、886百万円の収入前年同期比857百万円の収入増)となりました。これは、法人税等の支払額164万円などにより減少した一方で、税金等調整前中間純利益649百万円および売上債権の減少474百万円などにより増加したことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、44百万円の収入前年同期比101百万円の収入増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出31百万円などにより減少した一方で、有形固定資産の売却による収入118百万円などにより増加したことによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,211百万円の支出前年同期比1,229百万円の支出増)となりました。これは、長短借入金の純減額823百万円および配当金の支払額327百万円などにより減少したことによるものであります。

 

(4) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は88百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。