E00923 IFRS
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)の経営成績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
※1 売上収益には、ADHD治療薬のライセンス移管に伴う一時金が含まれております。
※2 コア営業利益:営業利益から非経常的な項目(減損損失、有形固定資産売却益など)を調整した利益
※3 Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:コア営業利益に減価償却費を加えた利益
売上収益につきましては、前第3四半期連結累計期間に日本政府のCOVID-19治療薬ゾコーバ購入による1,000億円が計上されておりましたため減収となりましたが、当第3四半期連結累計期間においては感染症薬を中心とした販売の拡大やインチュニブ及びビバンセの共同開発・商業化に関するライセンスを武田薬品工業株式会社へ移管したことによる一時金受領により、この1,000億円の影響を吸収し、前年同期比0.5%の減収に留めました。
国内医療用医薬品の売上収益につきましては、17.5%の減収となりました。しかし、一過的な要因である前第3四半期連結累計期間の日本政府のゾコーバ購入と当第3四半期連結累計期間のインチュニブ及びビバンセのライセンス移管による一時金受領を除くと前年同期比87.5%の増収となりました。この主な要因は、インフルエンザ治療薬ゾフルーザ、一般流通開始によるCOVID-19治療薬ゾコーバの売上拡大であり、2つの急性感染症薬を保有することによって、安定的な収益構築を実現しました。海外子会社及び輸出の売上収益につきましては、多剤耐性グラム陰性菌に効果を示すセフィデロコル(米国の製品名:Fetroja、欧州の製品名:Fetcroja)が欧米で好調に推移した結果、前年同期比19.4%の増収となりました。製造受託や一般用医薬品による売上収益につきましては、それぞれ前年同期比14.2%、5.1%の増収となりました。ロイヤリティー収入につきましては、経口2剤レジメンであるDovatoとJuluca、さらには長時間作用型治療薬Cabenuva、予防薬Apretudeを中心にヴィーブに導出したHIVフランチャイズの売上がさらに伸長したことや、為替の影響により前年同期比13.2%の増収となりました。
利益面につきましては、前年同期に比べ研究開発費が減少しましたが、当第3四半期連結累計期間において特別早期退職プログラムを実施し、費用が増加した影響等により、営業利益は前年同期比5.3%の減益となりました。税引前四半期利益につきましては、2022年度第1四半期連結累計期間において、2021年度第4四半期に受領予定であったヴィーブからの配当金を受領したこと及びヴィーブがギリアドとの訴訟の和解に伴う一時金を受領したことにより配当金が大きく減少したため、前年同期比17.3%の減益となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益につきましては前年同期比19.3%の減益となりました。
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1兆3,598億64百万円で、前連結会計年度末に比べて480億64百万円増加しました。
非流動資産は、為替の影響によるその他の金融資産の増加、無形資産の増加、その他の非流動資産の増加等により6,026億42百万円となり、前連結会計年度末に比べて750億35百万円の増加となりました。流動資産は営業債権の増加の一方で、現金及び現金同等物、3ヶ月超の定期預金の減少等の結果、7,572億22百万円となり、前連結会計年度末に比べて269億70百万円減少しました。
資本については1兆2,143億43百万円となり、配当金の支払、自己株式の取得による減少の一方で、四半期利益の計上、在外営業活動体の外貨換算差額(その他の資本の構成要素に含みます)の増加により、前連結会計年度末に比べて924億65百万円増加しました。
負債については1,455億21百万円で、前連結会計年度末に比べて444億円減少しました。
非流動負債は、302億28百万円で、前連結会計年度末に比べて11億41百万円の減少となりました。流動負債は1,152億93百万円で、前連結会計年度末に比べて432億59百万円の減少となりました。
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益の減少、法人所得税の支払額の増加等により、前年同期に比べ493億30百万円少ない670億56百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、新規の子会社の取得があった一方で、無形資産の取得による支出の減少や定期預金の増減等により、前年同期に比べ691億43百万円少ない101億55百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が前年同期に比べて減少した一方で、支払配当金の増加や前年同期に子会社における第三者割当による増資があったことにより、前年同期に比べ100億4百万円多い936億37百万円の支出となりました。
これらを合わせた当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は244億36百万円の減少となり、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の四半期末残高は、2,847億87百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
COVID-19関連プロジェクトや注力プロジェクトを中心に積極的に研究開発活動を行い、取り組みを着実に進展させました。
COVID-19の経口治療薬エンシトレルビル(日本での製品名:ゾコーバ)については、シンガポールにおいてSAR承認に基づき医療機関での処方が開始されました。また、パートナー企業であるJuniper社が通常承認申請を実施しました。欧米においては、グローバル第Ⅲ相臨床試験(SCORPIO-HR試験:入院を伴わないSARS-CoV-2感染患者が対象)について、2023年12月に症例登録を完了しました。本試験の結果を含め、2024年度第1四半期から米国におけるローリングサブミッションの開始を予定しています。エンシトレルビルは、上記試験の他にも2つのグローバル第Ⅲ相臨床試験(STRIVE試験:入院を伴うSARS-CoV-2感染患者が対象、SCORPIO-PEP試験:COVID-19初発患者の家庭内同居者を対象とした曝露後発症予防)と、国内における小児を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
COVID-19ワクチンについては、XBB 1.5株に対応する予防ワクチンS-268023の第Ⅲ相臨床試験を開始し、症例登録が完了しました。また、ユニバーサルワクチンについても2024年中の臨床入りに向け、順調に進捗しています。
注力プロジェクトについては、RSウイルスのA型およびB型への広域かつ強力な抗ウイルス効果を有する治療薬を目指し開発中のS-337395について、第Ⅱ相臨床試験を開始しました。抗肥満薬S-309309については、第Ⅱ相臨床試験の症例登録を2023年10月に完了しました。本試験のトップラインデータについては、2024年度第1四半期に入手を予定しております。また、米国Apnimed, Inc.と睡眠障害における課題解決を目的とした合弁会社 Shionogi-Apnimed Sleep Science, LLCを2023年10月に設立しました。Apnimed, Inc.は睡眠障害における卓越した専門知識を有する製薬企業であり、当社の有する低分子創薬力やBest-in-classの化合物創出力等のケイパビリティを掛け合わせることで、社会的影響度の高い睡眠障害である閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)に対する、有望なソリューションの創造を目指し活動を進めています。
こうした活動の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、726億33百万円となり、売上収益に対する比率は21.6%となりました。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数は、シオノギビジネスパートナー株式会社が当社グループ傘下ではなくなったこと及び特別早期退職プログラムの実施等により、723名減少して4,957名となりました。