売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00984 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績の状況

当社グループの当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)の連結業績は、次のとおりであります。

 

<連結業績(コアベース)>

 (単位:億円)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

対前年同期増減

売上収益

9,483

11,733

2,250

23.7%

売上原価

(注)

2,574

3,103

529

20.6%

販売費及び一般管理費

(注)

3,308

4,339

1,031

31.2%

研究開発費

(注)

2,417

2,568

151

6.2%

コア営業利益

(注)

1,183

1,722

539

45.5%

一過性の収益

(注)

110

269

158

143.5%

一過性の費用

(注)

22

46

23

102.5%

営業利益

1,271

1,946

674

53.0%

税引前四半期利益

1,275

1,998

724

56.8%

親会社の所有者に帰属する

四半期利益

867

1,636

769

88.7%

四半期包括利益合計額

1,177

2,080

904

76.8%

(注)当社グループは、経常的な収益性を示す指標として、営業利益から一過性の収益・費用を除外したコア営業利益を開示しております。一過性の収益・費用には、固定資産売却損益、事業再編に伴う損益(開発品や上市製品の売却損益を除く)、有形固定資産及び無形資産並びにのれんに係る減損損失、損害賠償や和解等に伴う損益の他、非経常的かつ多額の損益が含まれます。

本表では、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費について、一過性の収益・費用を除く実績を示しております。

 

<主要通貨の日本円への換算レート(期中平均レート)>

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

米ドル/円

136.53

143.29

ユーロ/円

140.60

155.28

 

売上収益

売上収益は、前年同期比2,250億円(23.7%)増収の1兆1,733億円となりました。グローバル主力品エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン T-DXd/DS-8201)、リクシアナ(一般名:エドキサバン)等の伸長及び円安の進行による為替の増収影響等により、増収となりました。売上収益に係る為替の増収影響は400億円でありました。

 

コア営業利益

コア営業利益は、前年同期比539億円(45.5%)増益の1,722億円となりました。売上原価は、売上収益の増加に伴い、529億円(20.6%)増加の3,103億円となりました。販売費及び一般管理費は、エンハーツに係るアストラゼネカ社とのプロフィット・シェアの増加による費用増等により、1,031億円(31.2%)増加の4,339億円となりました。研究開発費は、5DXd ADCs(トラスツズマブ デルクステカン、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402、イフィナタマブ デルクステカン:I-DXd/DS-7300、DS-6000)への研究開発投資の増加等により、前年同期比151億円(6.2%)増加の2,568億円となりました。コア営業利益に係る為替の増益影響は53億円でありました。

 

営業利益

営業利益は、前年同期比674億円(53.0%)増益の1,946億円となりました。ノバルティス社からの当社米国子会社 プレキシコンInc.に対する米国特許侵害訴訟の和解金の受領等により、一過性の収益が増加したため、コア営業利益に比べて増益額が拡大いたしました。

 

税引前四半期利益

税引前四半期利益は、前年同期比724億円(56.8%)増益の1,998億円となりました。受取利息の増加等により、金融収支が48億円改善したため、増益となりました。

 

親会社の所有者に帰属する四半期利益

親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比769億円(88.7%)増益の1,636億円となりました。第一三共エスファ㈱の譲渡決定に伴う税効果会計の影響等により、法人税等が前年同期に比べて減少したことから、税引前四半期利益に比べて増益額が拡大いたしました。

 

四半期包括利益合計額

四半期包括利益合計額は、前年同期比904億円(76.8%)増益の2,080億円となりました。

 

 

<連結業績(IFRSベース)>

 (単位:億円)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

対前年同期増減

売上収益

9,483

11,733

2,250

23.7%

売上原価

2,575

3,108

532

20.7%

販売費及び一般管理費

3,308

4,379

1,071

32.4%

研究開発費

2,404

2,571

166

6.9%

その他の収益

81

271

190

234.6%

その他の費用

5

0

△4

△96.5%

営業利益

1,271

1,946

674

53.0%

税引前四半期利益

1,275

1,998

724

56.8%

親会社の所有者に帰属する

四半期利益

867

1,636

769

88.7%

四半期包括利益合計額

1,177

2,080

904

76.8%

 

当社グループのユニット別売上収益状況は次のとおりであります。

 

① ジャパンビジネスユニット

ジャパンビジネスユニットの売上収益には、イノベーティブ医薬品事業、ワクチン事業及び第一三共エスファ㈱が取り扱うジェネリック事業の製品売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、イナビル、リクシアナ、エンハーツ、タリージェ等の伸長により、前年同期比559億円(15.7%)増収の4,123億円となりました。

 

当第3四半期連結累計期間における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年5月、抗悪性腫瘍剤ヴァンフリタの急性骨髄性白血病(AML)1次治療の承認取得及びプロモーションを開始いたしました。

・2023年5月、疼痛治療剤タリージェOD錠を新発売いたしました。

・2023年8月、エンハーツのHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療の承認取得及びプロモーションを開始いたしました。

・2023年11月、COVID-19 mRNAワクチン ダイチロナ筋注(1価:オミクロン株 XBB.1.5)の日本における承認を取得いたしました。同年12月、本製品を供給いたしました。

 

<ジャパンビジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

対前年同期増減

リクシアナ

抗凝固剤

795

895

100

12.6%

プラリア

骨粗鬆症治療剤・関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制剤

304

333

29

9.5%

タリージェ

疼痛治療剤

291

354

63

21.6%

ビムパット

抗てんかん剤

167

200

32

19.2%

ランマーク

がん骨転移による骨病変治療剤

156

158

3

1.9%

テネリア

2型糖尿病治療剤

170

161

△9

△5.1%

エンハーツ

抗悪性腫瘍剤

(抗 HER2 抗体薬物複合体)

85

177

92

108.8%

エフィエント

抗血小板剤

157

197

39

25.1%

カナリア

2型糖尿病治療剤

125

125

△1

△0.5%

ロキソニン

消炎鎮痛剤

147

125

△23

△15.5%

エムガルティ

片頭痛発作の発症抑制薬

47

57

10

20.3%

 

② 第一三共ヘルスケアユニット

第一三共ヘルスケアユニットの売上収益は、ロキソニン、ミノン等の伸長により、前年同期比51億円(9.4%)増収の599億円となりました。

 

③ オンコロジービジネスユニット

オンコロジービジネスユニットの売上収益には、第一三共Inc.(米国)及び第一三共ヨーロッパGmbHのがん製品売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、欧米におけるエンハーツの伸長により、前年同期比1,082億円(86.8%)増収の2,330億円、現地通貨ベースでは、712百万米ドル(77.9%)増収の1,626百万米ドルとなりました。

 

当第3四半期連結累計期間における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年8月、米国においてヴァンフリタを新発売いたしました(適応:AML1次治療)。

・2023年10月、エンハーツのHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん2次治療を対象とした欧州における承認取得及びプロモーションを開始いたしました。

 

<オンコロジービジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

対前年同期増減

エンハーツ

抗悪性腫瘍剤

(抗 HER2 抗体薬物複合体)

1,221

2,275

1,054

86.4%

 

エンハーツ(米)

998

1,628

630

63.1%

エンハーツ(欧)

223

647

424

190.3%

TURALIO

抗腫瘍剤

27

41

14

54.1%

 

④ アメリカンリージェントユニット

アメリカンリージェントユニットの売上収益は、インジェクタファー等の減収影響があったものの、ヴェノファー等の増収により、前年同期比85億円(5.9%)増収の1,520億円、現地通貨ベースでは、9百万米ドル(0.9%)増収の1,061百万米ドルとなりました。

 

<アメリカンリージェントユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

対前年同期増減

インジェクタファー

鉄欠乏性貧血治療剤

418

380

△38

△9.0%

ヴェノファー

鉄欠乏性貧血治療剤

382

452

70

18.4%

GE注射剤

556

591

35

6.4%

 

⑤ EUスペシャルティビジネスユニット

EUスペシャルティビジネスユニットの売上収益には、がん製品を除く第一三共ヨーロッパGmbHの売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、リクシアナ、Nilemdo/Nustendiの伸長により、前年同期比251億円(22.3%)増収の1,376億円、現地通貨ベースでは86百万ユーロ(10.8%)増収の886百万ユーロとなりました。

 

<EUスペシャルティビジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

対前年同期増減

リクシアナ

抗凝固剤

878

1,073

196

22.3%

Nilemdo / Nustendi

高コレステロール血症治療剤

49

121

72

147.1%

オルメサルタン

高血圧症治療剤

148

145

△3

△2.1%

 

⑥ ASCAビジネスユニット

ASCA(注)ビジネスユニットの売上収益には、海外ライセンシーへの売上収益等が含まれております。

当ユニットの売上収益は、ブラジルにおけるエンハーツの伸長等により、前年同期比254億円(23.8%)増収の1,318億円となりました。

(注)Asia, South & Central Americaの略。

 

当第3四半期連結累計期間における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年6月、中国においてエンハーツを新発売いたしました(適応:HER2陽性乳がんの2次治療)。

・2023年7月、エンハーツのHER2低発現乳がん(化学療法既治療)の中国における承認取得及びプロモーションを開始いたしました。

 

(2) 財政状態

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は3兆2,689億円となりました。現金及び現金同等物、並びにその他の金融資産(流動)の増加等により、前期末より7,601億円の増加となりました。

負債合計は1兆6,818億円となりました。社債及び借入金(流動)が減少した一方で、契約負債(非流動)、並びにその他の非流動負債の増加等により、前期末より6,188億円の増加となりました。

資本合計は1兆5,871億円となりました。配当金の支払による減少があった一方で、四半期利益の計上、並びにその他の資本の構成要素の増加等により、前期末より1,413億円の増加となりました。

親会社所有者帰属持分比率は48.5%となり、前期末より9.1%減少しております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、期首に比べ2,311億円増加し、6,730億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益1,998億円による資金の増加の他、契約負債の増加等により、5,693億円の収入(前年同期は821億円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出の他、設備投資及び無形資産の取得による支出等により、2,192億円の支出(前年同期は2,755億円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払の他、社債の償還及び借入金の返済等により、1,197億円の支出(前年同期は858億円の支出)となりました。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費(IFRSベース)は2,571億円(前年同期比6.9%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は21.9%となりました。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。