売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01755 US GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2023年4月~12月)における当社グループの売上高は、前年同期比で減少しました。血圧計需要が欧州などで回復したヘルスケア事業や、拡大する再生可能エネルギー需要を捉えた社会システム事業は好調に推移しましたが、制御機器事業において、グローバルで製造業における設備投資需要の低迷が継続したことに加え、販売代理店における在庫調整の影響を受けたことにより、前年同期比で大きく減少しました。また、電子部品事業においても、民生業界向けの需要低迷の継続により前年同期比で大きく減少しました。

 売上総利益率は、価格適正化や変動費コストダウンの取組みの成果はあったものの、事業構成比変動影響や、制御機器事業における商品の構成比変動、滞留在庫に対する評価損の計上による付加価値率の低下の影響が大きく、前年同期比で低下しました。

 営業利益については、上記の売上高減少、売上総利益率の低下に加えて、インフレ影響による人件費の増加などにより前年同期比で大きく減少しました。

また、当社株主に帰属する四半期純利益は、営業利益の減少に加え、株式会社JMDC(以下JMDC社)の株式について追加取得時点の市場価格にて再評価を行ったことによる損失等(120億円)を計上したことなどの影響もあり、前年同期比で大きく減少しました。なお、当損失影響を除く、当社株主に帰属する四半期純利益は199億円(前年同期比△60.7%)です。

 また、2023年12月21日付で新たにデータソリューション事業本部を新設しました。この結果、当社グループのオペレーティング・セグメントにデータソリューション事業(DSB)を追加しております。データソリューション事業では、当社グループの既存のビジネスカンパニーとJMDC社が協働し、モノづくりから、データを軸に新たな価値を創造するソリューションビジネスへの進化を先導します。JMDC社の財務数値は、当データソリューション事業に含めて開示します。

 当第3四半期連結累計期間の業績結果は以下のとおりです。

 

 

2023年3月期

第3四半期連結累計期間

2024年3月期

第3四半期連結累計期間

増減率

売上高

6,380億円

6,080億円

△4.7%

売上総利益

(売上総利益率)

2,868億円

(45.0%)

2,582億円

(42.5%)

△10.0%

(△2.5P)

営業利益

(営業利益率)

729億円

(11.4%)

266億円

(4.4%)

△63.5%

(△7.0P)

税引前四半期純利益

707億円

315億円

△55.5%

当社株主に帰属する

四半期純利益

505億円

78億円

△84.5%

米ドル平均レート

135.7円

142.9円

+7.2円

ユーロ平均レート

140.3円

155.0円

+14.7円

人民元平均レート

19.8円

20.0円

+0.1円

(注)1 「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発

費」を控除したものを表示しています。

2 当期発生したJMDC社株式の市場価格にて再評価を行ったことによる損失等を除いた当社株主に帰属する四半期純利益は199億円(△60.7%)、1株当たり当社株主に帰属する四半期純利益は100.96円です。

 

オペレーティング・セグメントの業績は、次のとおりです。

なお、「営業利益(△損失)」は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 四半期連結財務諸表注記事項Ⅱ-O セグメント情報」における「セグメント利益(△損失)」と同一です。

 

① IAB: インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)

 

2023年3月期

第3四半期連結累計期間

2024年3月期

第3四半期連結累計期間

増減率

外部顧客に対する売上高

3,591億円

3,019億円

△15.9%

営業利益

645億円

183億円

△71.6%

 

<売上高の状況>

 製造業における設備投資需要は、グローバルで低調に推移しました。特に中華圏において、市況の悪化を背景に、二次電池や半導体関連の投資延期・縮小の影響を大きく受けました。また、販売代理店における在庫が依然として高水準のまま推移しており、引き続き在庫調整の影響をグローバルで受けました。

 これらの結果、売上高は前年同期比で大きく減少しました。

 

<営業利益の状況>

 売上高の減少に加え、売上商品構成の変化や滞留在庫に対する評価損の計上などによる売上総利益率の低下により、営業利益は前年同期比で大きく減少しました。

 

② HCB: ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)

 

2023年3月期

第3四半期連結累計期間

2024年3月期

第3四半期連結累計期間

増減率

外部顧客に対する売上高

1,067億円

1,167億円

+9.3%

営業利益

131億円

165億円

+26.5%

 

<売上高の状況>

 欧州などの一部地域で主力製品である血圧計の需要が好調に推移しました。また、中国では肺炎など呼吸器疾患の増加により、ネブライザに対する需要が大きく増加しました。

 これらの結果に加え、円安による為替影響もあり、売上高は前年同期比で増加しました。

 

<営業利益の状況>

 売上高の増加に加え、物流費や部材費のコストダウンにより、営業利益は前年同期比で大きく増加しました。

 

 

③ SSB: ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)

 

2023年3月期

第3四半期連結累計期間

2024年3月期

第3四半期連結累計期間

増減率

外部顧客に対する売上高

639億円

903億円

+41.4%

営業利益(△損失)

△2億円

55億円

 

<売上高の状況>

 エネルギーソリューション事業は、住宅領域での電気料金高騰の継続による再エネ自家消費ニーズの高まりや補助金制度利用、産業・商業領域でのカーボンニュートラルへの取組み加速による投資拡大を受け、蓄電システムなどが好調に推移しました。また、駅務システム事業は、旅客者数の回復と運賃改定による鉄道各社の好調な業績を背景に、設備投資需要が好調に推移しました。

 これらの結果、売上高は前年同期比で大きく増加しました。

 

<営業利益(損失)の状況>

 為替影響により外貨建仕入コストが増加する一方、売上高の増加により営業利益は前年同期比で大きく増加しました。

 

④ DMB: デバイス&モジュールソリューションビジネス(電子部品事業)

 

2023年3月期

第3四半期連結累計期間

2024年3月期

第3四半期連結累計期間

増減率

外部顧客に対する売上高

1,050億円

885億円

△15.7%

営業利益

135億円

31億円

△76.7%

 

<売上高の状況>

 民生業界向け部品の需要は、インフレなどの影響を受け、グローバルで顧客の投資抑制や生産活動が停滞しました。自動車向け部品の需要は、半導体を含む部材不足の影響が緩和され、生産台数の回復は見られましたが、総じて低調に推移しました。

 これらの結果、売上高は前年同期比で大きく減少しました。

 

<営業利益の状況>

 売上高減少の影響などにより、営業利益は前年同期比で大きく減少しました。

 

⑤ DSB: データソリューションビジネス(データソリューション事業)

 

2023年3月期

第3四半期連結累計期間

2024年3月期

第3四半期連結累計期間

増減率

外部顧客に対する売上高

74億円

営業利益

6億円

(注)データソリューション事業にはJMDC社の2023年10月16日の連結子会社化時点以降の財務数値を含んでいます。

<売上高の状況>

 JMDC社における契約健康保険組合数、データ利活用先である製薬企業および保険会社との取引量、さらに遠隔読影サービスを利用する医療機関数などが引き続き拡大し、売上高は堅調に推移しました。

 

<営業利益の状況>

 売上高拡大により、営業利益は堅調に推移しました。

(JMDC社の連結子会社化によって識別した無形資産の償却費などの費用を当セグメントに含めています。)

 

(2) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況

財政状態

当社グループでは、持続的な企業価値向上に向けた投資を積極的に実行するとともに、資本効率を重視したROIC経営を継続しています。

当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、JMDC社の株式の追加取得により、前連結会計年度末に比べ2,863億円増加して、12,844億円となりました。また、負債の部は、短期借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,011億円増加して、3,680億円となりました。純資産の部は、JMDC社の株式の追加取得に伴う非支配持分の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,852億円増加して、9,164億円となりました。

以上により、株主資本比率は前連結会計年度の73.0%から58.6%となったものの、強固な財務基盤が維持されています。手元現預金は1,293億円を保有しており、加えて金融機関との間で300億円のコミットメントライン契約を締結しています。また、格付機関から長期発行体格付として継続的に高格付を獲得しており、高い資金調達力とグローバルで金融機関との良好な関係を維持しながら、資金流動性と調達力を確保してまいります。

 

   <四半期連結貸借対照表(抜粋)と財政状態に関連する指標>

 

2023年3月期

(2023年3月31日)

2024年3月期

第3四半期連結会計期間

(2023年12月31日)

増減

資産合計(資産の部合計)

9,982億円

12,844億円

+2,863億円

負債の部合計

2,669億円

3,680億円

+1,011億円

株主資本

7,285億円

7,531億円

+246億円

非支配持分

28億円

1,633億円

+1,606億円

純資産の部合計

7,312億円

9,164億円

+1,852億円

負債及び純資産合計

9,982億円

12,844億円

+2,863億円

 

キャッシュ・フロー

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

売上債権の減少や減価償却費の計上、持分法投資損益の計上などにより319億円の収入(前年同期比116億円の収

入増)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

JMDC社の株式の追加取得や資本的支出などにより791億円の支出(前年同期比405億円の支出増)となりました。

なお、当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローの金額から投資活動によるキャッシュ・

フローを加味したフリーキャッシュ・フローの金額は△472億円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払いなどがあったものの、短期借入金の増加により668億円の収入(前年同期比1,236億円の収入増)となりました。

 

以上の結果、現金及び現金同等物の当第3四半期連結会計期間末残高は前連結会計年度末に比べ240億円増加し、1,293億円となりました。

 

   <四半期連結キャッシュ・フロー計算書(抜粋)>

 

2023年3月期

第3四半期

連結累計期間

2024年3月期

第3四半期

連結累計期間

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

202億円

319億円

+116億円

投資活動によるキャッシュ・フロー

△386億円

△791億円

△405億円

フリーキャッシュ・フロー

△184億円

△472億円

△289億円

財務活動によるキャッシュ・フロー

△568億円

668億円

+1,236億円

 

減価償却費

198億円

223億円

+25億円

資本的支出(設備投資)

△280億円

△308億円

△28億円

      (注)資本的支出は、四半期連結キャッシュ・フロー計算書記載の金額

(3) 経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につい て重要な変更はありません。

なお、当第3四半期連結会計期間よりJMDC社を連結子会社としたことに伴い、関連するのれんを評価しています。のれん評価の詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 四半期連結財務諸表注記事項 Ⅰ-F会計処理基準 7のれんおよびその他の無形資産」をご覧ください。

(6) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、378億94百万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。