売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00945 IFRS

売上高

4,471.9億 円

前期

3,613.6億 円

前期比

123.8%

時価総額

1.13兆 円

株価

2,269.5 (04/25)

発行済株式数

498,692,800

EPS(実績)

226.04 円

PER(実績)

10.04 倍

平均給与

962.8万 円

前期

947.3万 円

前期比

101.6%

平均年齢(勤続年数)

43.5歳(16.8年)

従業員数

3,381人(連結:3,761人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社および子会社(以下、当社グループ)、並びに当社グループの関連会社においては、医薬品部門に関係する事業を行っております。2023年3月31日現在において、子会社は13社、関連会社は1社で構成されております。

医薬品事業における当社および関係会社の位置づけ等は次のとおりであります。

 

< 医薬品事業 >

医療用、一般用医薬品等の製造・販売を行っております。このうち医療用医薬品については、従前より研究開発活動に特に注力しており、当企業集団の中で主力分野と位置づけております。

 〔関係会社〕

  (販売および販売支援等)

 韓国小野薬品工業㈱、台灣小野藥品工業股份有限公司

 (製造・販売)

 小野薬品ヘルスケア㈱、東洋製薬化成㈱、㈱ビーブランド・メディコーデンタル、㈱ナミコス

 (医薬品の臨床開発・導出入活動)

 オノ・ファーマ・ユーエスエー インク、オノ・ファーマ・ユーケー・リミテッド

(その他)

 オノ ベンチャー インベストメント インク

 オノ ベンチャー インベストメント ファンド I エルピー

小野デジタルヘルス投資合同会社

小野薬品ユーディ㈱

㈱michiteku

 その他1社

 

 なお、当社グループ並びに当社グループの関連会社の事業は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

 

23/06/23

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりとなりました。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(財政状態)

  当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,432億円増加8,824億円となりました。
  流動資産は、現金及び現金同等物やその他の金融資産の増加などから638億円増加3,451億円となりました。
  非流動資産は、その他の金融資産や繰延税金資産の増加などから794億円増加5,373億円となりました。
  負債は、未払法人所得税や仕入債務及びその他の債務の増加などから571億円増加1,346億円となりました。
  親会社の所有者に帰属する持分は、剰余金の配当があった一方で、当期利益の計上などから860億円増加7,419億円となりました。

 

(経営成績)

  (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

対前年度増減額

対前年度増減率

売上収益

361,361

447,187

85,826

23.8%

営業利益

103,195

141,963

38,768

37.6%

税引前当期利益

105,025

143,532

38,507

36.7%

当期利益
(親会社の所有者帰属)

80,519

112,723

32,204

40.0%

 

[売上収益]

 売上収益は、前連結会計年度比858億円(23.8%)増加4,472億円となりました。

抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」は、競合他社製品との競争が激化する一方、胃がん、食道がんなどでの使用が拡大したことにより、前連結会計年度比299億円(26.6%)増加の1,423億円となりました。

その他の主要新製品では、糖尿病、慢性心不全および慢性腎臓病治療剤「フォシーガ錠」は565億円(前連結会計年度比54.3%増)、関節リウマチ治療剤「オレンシア皮下注」は248億円(同8.1%増)、2型糖尿病治療剤「グラクティブ錠」は225億円(同8.3%減)、多発性骨髄腫治療剤「カイプロリス点滴静注用」は87億円(同4.0%増)、抗悪性腫瘍剤「ベレキシブル錠」は85億円(同36.2%増)、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療剤「パーサビブ静注透析用」は84億円(同5.3%減)、パーキンソン病治療剤「オンジェンティス錠」は50億円(同72.9%増)となりました。

長期収載品は、薬価改定の影響などにより、末梢循環障害改善剤「オパルモン錠」は44億円(前連結会計年度比7.6%減)、気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「オノンカプセル」は25億円(同30.7%減)となりました。

・ロイヤルティ・その他は、前連結会計年度比367億円31.8%)増加の1,521億円となりました。

 

[営業利益]

営業利益は、前連結会計年度比388億円(37.6%)増加1,420億円となりました。

・売上原価は、製品商品の売上が増加したことなどにより、前連結会計年度比166億円(17.7%)増加1,101億円となりました。

・研究開発費は、研究に係る費用、創薬提携に係る費用、臨床試験に係る費用の増加などにより、前連結会計年度比195億円(25.7%)増加953億円となりました。

販売費及び一般管理費(研究開発費を除く)は、フォシーガ錠の売上拡大に伴うコ・プロモーション費用やIT・デジタル関連の情報基盤強化に伴う費用などが増加したことにより、前連結会計年度比124億円(16.1%)増加895億円となりました。

・その他の費用は、当期にダナファーバーがん研究所との特許関連訴訟の和解に伴う一時金や、2023年1月に設立された小野薬品がん・免疫・神経研究財団への拠出金の計上などにより111億円となりました。なお、前期にPD-1抗体関連特許に関する訴訟に係る費用などを計上しており、前連結会計年度比16億円(12.9%)の減少となりました。

 

[親会社の所有者に帰属する当期利益]

親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前当期利益の増加に伴い、前連結会計年度比322億円(40.0%)増加1,127億円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

対前年度増減額

現金及び現金同等物の期首残高

61,045

69,112

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

61,829

159,610

97,781

投資活動によるキャッシュ・フロー

6,038

△100,259

△106,297

財務活動によるキャッシュ・フロー

△60,237

△32,484

27,753

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

7,631

26,868

 

現金及び現金同等物に係る為替変動による影響額

436

155

 

現金及び現金同等物の期末残高

69,112

96,135

 

 

 

当連結会計年度における現金及び現金同等物の増減額は、269億円の増加となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益1,435億円減価償却費及び償却費175億円などがあった結果1,596億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入480億円などがあった一方で、定期預金の預入による支出1,382億円などがあった結果、1,003億円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額297億円などがあった結果、325億円の支出となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円) 

セグメントの名称

生産高

対前年度増減率

医薬品事業

272,995

10.7%

合計

272,995

10.7%

 

(注) 1 金額は、売価換算額によっております。

2 連結会社間の取引は相殺消去しております。

3 当社グループのセグメントは、「医薬品事業」単一であります。

 

(2) 受注状況

当社グループでは、主に販売計画に基づいて生産計画を策定し、これに基づき生産を行っております。受注生産は一部の連結子会社で行っておりますが、受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 (単位:百万円) 

セグメントの名称

販売高

対前年度増減率

医薬品事業

447,187

23.8%

合計

447,187

23.8%

 

(注) 1 連結会社間の取引は相殺消去しております。

2 当社グループのセグメントは、「医薬品事業」単一であります。

3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

  (単位:百万円) 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額

割合

金額

割合

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社
およびそのグループ会社

79,490

22.0%

100,176

22.4%

㈱メディパルホールディングス
およびそのグループ会社

57,262

15.8%

68,436

15.3%

㈱スズケンおよびそのグループ会社

49,438

13.7%

58,693

13.1%

アルフレッサホールディングス㈱
およびそのグループ会社

37,665

10.4%

46,423

10.4%

東邦ホールディングス㈱
およびそのグループ会社

36,119

10.0%

45,376

10.1%

メルク社およびそのグループ会社

30,830

8.5%

45,176

10.1%

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

医薬品業界においては、新薬創製の成功確率は年々低下し、研究開発費負担が増大するとともに、医療制度改革による種々の医療費抑制政策が強化されるなど、新薬開発型企業にとっては厳しい経営環境が続いています。このような経営環境の中、当社グループでは「製品価値最大化~患者本位の視点で~」「パイプライン強化とグローバル開発の加速」「欧米自販の実現」「事業ドメインの拡大」および経営基盤であるデジタル・IT基盤、人的資本、企業ブランド等の無形資産の拡充を経営上の重要課題と捉え、これらの課題を達成していくことにより、持続的な成長に努めています。

当社グループの収益は、医薬品事業の単一セグメントですが、売上収益の内訳としては、「製品商品」「ロイヤルティ・その他」に区分しています。

「製品商品」については、抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」の売上収益が、経営成績に重要な影響を与えるものと認識しています。「オプジーボ点滴静注」については、これまでの薬価の引き下げに加え、今後も競合他社製品との競争は激化すると予想されるものの、これまで承認取得したがん腫での使用拡大に加え、新たな適応がん腫の拡大と治療ラインの拡大、併用療法の開発等により使用対象患者数の拡大を見込んでおり、持続的に伸長できると考えています。

「ロイヤルティ・その他」については、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社からの「オプジーボ点滴静注」に係るロイヤルティ収入等が、経営成績に重要な影響を与えるものと認識しています。引き続き、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社との協力関係を維持することで、グローバルにおいても、「オプジーボ点滴静注」のさらなる適応拡大と治療ラインの拡大、併用療法の開発等により使用対象患者数の拡大を見込んでおり、中期的に伸長できるものと考えています。

また、「オプジーボ点滴静注」の価値最大化に加え、「オプジーボ点滴静注」のような革新的新薬を継続的に創出できるような研究開発力の強化に取り組んでおり、研究開発費の増大が、経営成績に重要な影響を与えるものと認識しています。いまだ満たされない医療ニーズの高いがんや免疫疾患、中枢神経疾患、スペシャリティ領域を重点研究領域に据えて、経営資源を集中させ、効率的な経費支出に努めることで、利益の確保も図っていきます。

中期的には、研究開発費は増加するものの、売上収益の拡大により売上収益の20~25%程度を投資しつつ、かつ営業利益率25%以上を目指していきたいと考えています。また、これらの水準を目標としつつ、売上収益の拡大によって利益拡大を図ることがROEの水準を高めていくことにつながるものと考えています。なお、当連結会計年度は、売上収益に対する研究開発費率21.3%(前連結会計年度21.0%)、営業利益率31.7%(前連結会計年度28.6%)、ROE16.1%(前連結会計年度12.5%)でありました。

 

② 資本の財源及び資金の流動性に関する状況

当社グループは、円滑な事業活動に必要となる流動性の確保と財務の健全性および安全性の確保を資金調達の基本方針としており、市場環境等を考慮した上で、有効かつ機動的な資金調達を実施していきます。資金需要としては、研究開発投資に加え、有形・無形の固定資産への投資が中心となりますが、当社グループでは以前より流動資産が流動負債を大きく上回っており、資金の源泉については、内部資金を充当しています。

当連結会計年度末の流動資産は、3,451億円(内、現金及び現金同等物は961億円)、流動負債は1,229億円であり、必要な流動性は十分に満たしていると認識しています。

 

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、収益および費用、資産および負債の測定に関する経営者の見積りおよび仮定を含んでおります。これらの見積りおよび仮定は過去の実績および決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかし、その性質上、将来において、これらの見積りおよび仮定とは異なる結果となる可能性があります。

見積りおよびその基礎となる仮定は経営者により継続して見直されております。これらの見積りおよび仮定の見直しによる影響は、その見積りおよび仮定を見直した期間およびそれ以降の期間において認識しております。

当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積りおよび仮定は以下のとおりであります。

 

(1)無形資産(特許権及びライセンス等)の減損

当社グループは、無形資産について、各報告期間末日に減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、減損テストを実施しております。また、耐用年数が確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に、減損テストを実施しております。

減損テストは、各資産の回収可能価額を算定し、帳簿価額と比較することにより実施しております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。

資産または資金生成単位の回収可能価額は、売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しております。使用価値の算定には、販売予測数量および割引率といった経営者による仮定が使用されております。

使用する割引率は、貨幣の時間価値と当該資産に固有のリスクのうち、将来キャッシュ・フローの見積りを調整していないものを反映した税引前の利率を用いております。

将来の事象によって、減損テストに用いられた仮定が変更され、その結果、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)繰延税金資産の回収可能性

資産および負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、繰延税金資産を回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において、当該一時差異に適用される法定実効税率を使用して繰延税金資産を計上しております。当社グループは、事業計画等に基づいて将来獲得しうる課税所得の時期およびその金額を合理的に見積り、課税所得が生じる可能性を判断しています。

 

(3)退職給付会計の基礎率

当社グループは確定給付型を含む複数の退職給付制度を有しております。

確定給付債務の現在価値および関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率や利息の純額等の変数についての見積りおよび判断が求められます。

当社グループは、これらの変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、外部の年金数理人からの助言を得ております。

数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。