E01793 Japan GAAP
前期
8,028.5億 円
前期比
116.2%
株価
1,242.5 (04/19)
発行済株式数
219,281,450
EPS(実績)
52.31 円
PER(実績)
23.75 倍
前期
602.8万 円
前期比
103.5%
平均年齢(勤続年数)
42.5歳(18.1年)
従業員数
6,784人(連結:29,926人)
当社グループは、当社、子会社57社及び関連会社33社より構成され、コンポーネント事業、センサ・コミュニケーション事業、モジュール・システム事業、その他の4事業区分に関係する事業を行っています。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
主な製品及び事業の内容は以下のとおりです。
当社グループの事業に関わる主要な会社の位置付け及びセグメントの関連は、次のとおりです。
主要な事業系統図は以下のとおりです。
なお、当社子会社は複数セグメントに跨って事業展開を行っている会社が多いため、セグメント別に区分せず一括して記載しています。
(注)上記の系統図以外に32社の連結子会社及び28社の持分法適用会社が存在しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ65億円減少の7,369億円、自己資本は、為替換算調整勘定、利益剰余金の増加と、退職給付に係る調整累計額の減少等により、86億円増加の3,981億円となり、自己資本比率は54.0%となりました。
流動資産は、棚卸資産、受取手形及び売掛金の増加と、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末と比べ74億円増加の4,665億円となりました。
固定資産は、建物及び構築物、土地、機械装置及び運搬具の減少と、投資有価証券、建設仮勘定の増加等により、前連結会計年度末と比べ139億円減少の2,704億円となりました。
流動負債は、短期借入金、支払手形及び買掛金の増加と、賞与引当金の減少等により、前連結会計年度末と比べ302億円増加の2,645億円となりました。
固定負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末と比べ112億円減少の726億円となりました。
なお、上記の固定資産の減少及び投資有価証券の増加の主な要因は、当社の連結子会社であった(株)アルプス物流及びその子会社25社を持分法適用会社に変更した影響によるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスによる行動制限緩和に伴い社会経済活動の正常化が進むとともに、サプライチェーン混乱、半導体不足も緩和し、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、長期化するロシア・ウクライナ情勢により、エネルギー資源、部材の高騰が進み、インフレ対策を主眼とした各国中央銀行の利上げにより為替相場の急変が続くなど、依然として予断を許さない状況が続いています。
地域別の状況については、米国・欧州では個人消費はおおむね堅調に推移しましたが、高いインフレ率と金利の上昇により消費者の購買力に陰りが見えています。中国ではゼロコロナ政策及びその解除に伴う混乱はありましたが、収束後の消費拡大が牽引し、経済は回復傾向です。日本においては、経済社会活動の正常化が進み、消費・輸出は堅調に推移するも、円安や、天然資源及び穀物価格の上昇による食料品やエネルギー価格高騰の影響は色濃く、回復は緩やかなものとなりました。
こうした事業環境において、当社では部材や物流費高騰への対応、部品在庫の確保による計画的な生産及び売上高の維持等、計画達成に向けて活動しました。
当連結会計年度における経営成績の概況については以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高は内部取引売上高として消去しています。
セグメントの状況
当社は、2022年4月より、事業セグメントを収益基盤の維持・拡大を目指す「コンポーネント事業」、今後の成長領域と位置づけて伸ばす「センサ・コミュニケーション事業」、改善により収益体質の良質化を図る「モジュール・システム事業」へと再整理し、よりバランスの取れた成長に向けた取り組みを進めています。これに伴い、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しています。
また、第1四半期連結会計期間末において、「物流事業」を構成していた(株)アルプス物流及びその子会社25社を持分法適用会社に変更したことに伴い、第2四半期連結会計期間より、「その他」の区分に含めています。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
経営者が認識しているセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
<コンポーネント事業>
中国での新型コロナウイルス感染拡大による生産減速の影響があったものの、顧客のスマートフォンの販売好調に伴い、モバイル機器向け製品は総じて堅調に推移しました。為替の円安基調による業績への寄与もあり、売上高、営業利益ともに前期を上回りました。
以上の結果、当連結会計年度におけるコンポーネント事業の売上高は3,290億円(前期比25.5%増)、営業利益は383億円(前期比13.9%増)となりました。
<センサ・コミュニケーション事業>
部材供給懸念の一部解消を受けて自動車生産が回復に向かう中、車載向けセンサの売れ行きが堅調に推移し、為替の円安基調による業績への寄与もあったことで、売上高は前期を上回りました。一方、スマートフォン向けセンサの顧客モデルの切り替えによる事業規模縮小、半導体をはじめとした部材の高騰や開発費増加による利益率低下に伴い、営業損失となりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるセンサ・コミュニケーション事業の売上高は855億円(前期比6.9%増)、営業損失は15億円(前期における営業利益は23億円)となりました。
<モジュール・システム事業>
中国での新型コロナウイルス感染拡大による生産減速の影響があったものの、世界的な自動車生産の回復に伴う自動車部品の需要増加や、当第4四半期連結会計期間から販売を開始した新製品による売上寄与、為替の円安基調による売上への貢献もあり、売上高は前期を上回りました。一方、部材高騰に対する顧客への適正価格化活動や継続的な原価改善等を行うも、価格転嫁の遅れや不足、新製品生産立上げにおけるコストの増加により、営業損失となりました。また、コスト面では外貨建てでの部材調達及び海外生産が多いため円安による業績貢献は限定的であり、営業損失は前期比で改善したものの、その勢いは緩やかなものとなりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるモジュール・システム事業の売上高は4,813億円(前期比30.6%増)、営業損失は66億円(前期における営業損失は83億円)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高9,331億円(前期比16.2%増)、営業利益335億円(前期比4.6%減)、経常利益349億円(前期比13.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益114億円(前期比50.0%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ555億円減少し、当連結会計年度末の残高は、828億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、154億円(前期は343億円の増加)となりました。
この増加は、主に減価償却費468億円、税金等調整前当期純利益268億円及び仕入債務の増加額201億円による資金の増加と、棚卸資産の増加額291億円、売上債権の増加額277億円及び法人税等の支払額130億円による資金の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、542億円(前期は455億円の減少)となりました。
この減少は、主に有形及び無形固定資産の取得による支出523億円による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、7億円(前期は135億円の減少)となりました。
この減少は、主に長期借入金の返済による支出125億円、配当金の支払額61億円及び自己株式の取得による支出25億円による資金の減少と、長期借入れによる収入226億円による資金の増加によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、販売価格によっています。
2)受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しています。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.当連結会計年度において、販売実績の「その他」に著しい変動がありました。これは、主として第1四半期連結会計期間末において、連結子会社であった(株)アルプス物流及びその子会社25社を持分法適用の範囲に含めたことによるものです。
3.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、下記のとおりです。
前連結会計年度において LG Innotek Co., Ltd.は販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されています。
この連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の数値及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える会計上の見積りを用いています。
当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。
1)棚卸資産の評価
棚卸資産は取得原価又は正味売却価額のいずれか低い金額で評価しています。正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、取得原価と正味売却価額との差額について評価損を計上しています。正味売却価額は、主に顧客との販売契約に基づく予定売価を基に見積もっています。また、一定の保有期間を超えた場合、滞留又は陳腐化しているとみなし、評価損を計上しています。更に、保有期間にかかわらず将来廃却が見込まれる棚卸資産についても評価損を計上しています。
市場環境の悪化による顧客の需要減少や製品ライフサイクルの変化等に伴い、棚卸資産の収益性の低下、滞留、陳腐化が生じた場合、将来において追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。
2)繰延税金資産
繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額のみ計上しています。将来の収益力に基づく課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。将来課税所得の見積りは、事業計画並びにグループ会社間の取引価格を基礎としています。事業計画は、主に、各事業の主要顧客への販売数量及び販売価格、予測されている営業利益率、売上規模に応じた固定費の見積り及び想定為替レートを前提に策定しています。また、各市場における部材高騰の長期化やインフレの継続といった事業環境下で、これらに対する顧客への価格転嫁の遅れや不足、目標とする原価改善の未達等の要因を考慮しています。グループ会社間の取引価格は、各国の移転価格税制を考慮し、連結子会社ごとに設定しています。
将来において、事業環境の変化による顧客の需要減少や、移転価格を含む税務関連の動向の変化等により課税所得が予想を下回り、すでに計上されている繰延税金資産の全部又は一部を回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩し、税金費用が計上される可能性があります。
当連結会計年度の繰延税金資産の回収可能性を判断するに当たり、将来課税所得の見積りに用いた重要な仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
3)退職給付に係る負債
退職給付費用及び退職給付に係る負債は、数理計算上の前提条件に基づいて算出されています。前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、退職率及び死亡率等の仮定が含まれています。このうち、退職給付費用及び退職給付に係る負債の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率及び年金資産に係る長期期待運用収益率です。
割引率は優良債券の利回りを参考に決定しており、連結会計年度末において割引率を再検討した結果、割引率の変動が退職給付債務に重要な影響を及ぼすと判断した場合にはこれを見直した上で、退職給付債務を算定しています。長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオに基づく一定期間における運用実績を基に、今後の運用方針及び市場動向を考慮して設定しています。
これらの仮定が実際の結果と異なる場合、又は仮定を変更した場合、将来期間における退職給付費用及び退職給付に係る負債に影響を及ぼすことがあります。
当連結会計年度の退職給付費用の計算に使用した割引率及び長期期待運用収益率は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載のとおりです。
4)固定資産の減損
当社グループの資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象があり、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損損失の測定に当たって見積られる回収可能価額は、資産又は資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額を使用しています。
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローは、事業計画を基礎として算定しています。当該事業計画は、主に顧客・製品別にまとめた受注予測、予測されている限界利益率及び固定費を前提として策定しています。なお、部材高騰の長期化やインフレの継続といった事業環境下で、これらに対する顧客への価格転嫁の遅れや不足、目標とする原価改善の未達等の要因を考慮しています。また、使用価値の算定に使用する割引率は、当社に要求される加重平均資本コストを採用しています。将来、事業環境の変化等により固定資産の収益性が低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
また、固定資産の耐用年数については、各市場における製品ライフサイクルを基礎として、生産設備等の経済的耐用年数を設定しています。製品ライフサイクルについては、事業・市場・顧客単位などの性質を勘案して決定しています。
当連結会計年度において減損会計を適用するに当たり、将来キャッシュ・フローの見積りに用いた重要な仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高9,331億円(前期比16.2%増)、営業利益335億円(前期比4.6%減)、経常利益349億円(前期比13.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益114億円(前期比50.0%減)となりました。
セグメント別の売上高及び営業利益については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用及び設備投資、業務提携等の投資を目的とした資金需要であり、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としています。
運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金にて調達しています。
なお、当連結会計年度末の借入金残高は1,219億円(前期比86億円増)となり、運転資金安定のための短期借入金が772億円(前期比201億円増)、将来の事業基盤確立に向けた研究開発や設備投資資金の確保などのための長期借入金が447億円(前期比115億円減)となりました。