売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E01971 IFRS

売上高

1,476.7億 円

前期

1,386.0億 円

前期比

106.5%

時価総額

403.4億 円

株価

1,227 (04/24)

発行済株式数

32,879,317

EPS(実績)

155.17 円

PER(実績)

7.91 倍

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、純粋持株会社である当社(スミダコーポレーション株式会社)及び国内外連結子会社で構成されており、生産・販売・研究開発体制を基礎とした地域別に「アジア・パシフィック事業」と「EU事業」の2つの事業に区分しています。当社が、製品・サービスについて地域ごとに包括的な戦略を立案・決定し、当社による事業活動の支配・管理の下、各事業では、車載用・産業機器用・家電用等の電子機器に搭載されるコイル関連の部品及びモジュール製品の研究・開発・設計・製造・販売を行っています。

なお、2つの事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に掲げるセグメントの区分と同一です。

なお、当社は特定上場会社等です。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

主な当社グループ会社の事業系統図は次のとおりです。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

 

[主要な事業内容]

 当社グループは、コイル関連の部品及びモジュール製品の設計・製造・販売を行っています。当社グループの製品は、車載・インダストリー・家電といった多岐に亘る電子機器に搭載されています。当社グループの主要製品は次のとおりです。

パワーインダクタ&RFインダクタ

面実装、ピンタイプ、デジタルアンプ用LPFコイル、RFチップインダクタ

 

パワートランスフォーマー

面実装タイプ、ピンタイプ、PoEトランス、スイッチング・パワーサプライ、リアクタ、非接触給電コイル

 

シグナル

RF/通信、RFID、アンテナコイル、他

 

EMC

ACパワーライン、DCパワーライン、ノーマルモードチョーク、コモンモードコイル

 

センサ・アクチュエータ

ローターポジションセンサー、ABSコイル、ソレノイドコイル

 

車載用モジュール

インバーター用チョーク・モジュール、パワー・コンバージョン、フィルターモジュール

 

磁性材料、セラミック部品、EMS、フレキシブル・

 コネクション

セラミック受動部品、電子製品製造サービス(EMS)、フレキシブルフラットケーブル

 

医療機器用コンポーネント

通信用アイソレーショントランス、アイソレーショントランス

 

 

24/03/21

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月21日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営成績

①経営成績の概要

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症が徐々に収束に向かい、長らく停滞していた経済活動が正常化に向けて動き始めました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、イスラエルにおいても武力衝突が発生する等、地政学上の不安定さが増しています。こうした中、米欧においては、新型コロナウイルス流行期の景気対策の反動で物価が大きく上昇し、これを抑え込むための積極的な金融引き締めが継続されました。中国においては、経済活動の再開に伴うリバウンド需要が一巡した後、不動産市況が悪化しており、景気回復の重しになっています。金融政策においては、米欧で引き締めが進む一方で、中国では緩和が行われた中、日銀が長短金利操作の運用を柔軟化しつつも大規模な金融緩和を維持したこと等により、米ドル、ユーロ、人民元の全てに対し年初から円安が進行しました。

こうした中、当社グループではxEV関連を中心とした受注済み案件の生産立ち上げ及び新規案件の獲得を進めました。特に、製品設計、生産技術及び品質管理等の領域における専門性の高い技術者を中心に拠点間の往来を再開しつつあり、設計拠点と生産拠点とが異なる製品の量産を確実に行うための体制づくりを進めています。生産においては、継続的な設備投資の実行、量産製品の生産効率向上及び品質水準の向上等、付加価値を高める不断の活動を進めています。

当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりです。

売上収益は家電関連のパソコン、スマートフォン向けが伸び悩んだものの、車載関連でxEV向けの受注が好調に推移し、また、インダストリー関連における太陽光発電設備向けも堅調に推移しました。また、前連結会計年度と比較して、円に対して米ドル高、ユーロ高、人民元高で推移したことも円建ての売上収益増に寄与し、前連結会計年度比6.5%増の147,672百万円でした。

営業利益は前連結会計年度比4.6%増の8,564百万円でした。また、支払利息等による金融収益/金融費用の影響が2,708百万円のマイナスであったこと等から、税引前当期利益は同10.4%減の5,856百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同0.7%減の5,064百万円でした。

 

※画像省略しています。

《前連結会計年度対比》

当連結会計年度は、ドル、ユーロ及び人民元に対して円安が進行し、全体として営業利益にはプラスの効果がありました。生産効率の向上が賃金上昇を吸収したものの、特に第3四半期連結会計期間から家電関連のパソコン、スマートフォン向け需要が伸び悩んだ影響で工場操業度が低下し、また製造間接費も増加しました。営業利益の純増は375百万円となりました。

 

 

◎参考:期中平均為替レート

 

2022年度

2023年度

米ドル/円

130.24

140.21

ユーロ/円

137.21

151.37

人民元/円

19.37

19.78

 

当社グループは、2021年初頭に策定した中期経営計画において、経営基盤を強化する方策として脱炭素関連のアプリケーションに注力することを掲げました。具体的には、車載関連市場におけるxEV向けアプリケーションで、2020年を起点にした3年間で年平均40%の成長を目標としました。xEV関連の売上推移は以下のとおりで、2020年を起点にした3年間で年平均54%の成長を達成しました。

 

◎参考:xEV関連売上

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

連結会計期間

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

2021年

2,786

3,189

3,191

3,846

13,014

2022年

4,429

5,886

7,684

7,335

25,335

2023年

6,464

7,094

6,935

7,544

28,038

 

資本コストを意識した経営が求められる中、資本コストとの比較に馴染むROIC(投下資本利益率)を中期経営計画上のモニタリング指標としています。ROICの実績は以下のとおりです。

▶ROIC

2021年度実績

2022年度実績

2023年度実績

5.03%

6.48%

7.43%

当連結会計年度末時点での資本コストは5.93%と見ています。

 

また、支払利息、為替差損益等の財務費用が親会社の所有者に帰属する当期利益に与える影響も大きく、親会社の所有者に帰属する当期利益は配当額の算定に使用するため、ROEも引き続き重要なモニタリング指標だと考えています。ROEの実績は以下のとおりです。

▶ROE

2021年度実績

2022年度実績

2023年度実績

7.40%

12.00%

9.94%

 

②報告セグメントの概況

当連結会計年度における報告セグメントの概況は次のとおりです。

1)アジア・パシフィック事業

アジア・パシフィック事業では、車載関連においてはxEV向け、インダストリー関連においては再生可能エネルギー向け等が堅調に推移したものの、スマートフォン向けを中心とする家電関連で前連結会計年度に急増した需要の反動減の影響を受け、売上収益は前連結会計年度比4.8%減の95,699百万円でした。不断の生産効率改善に加え、サプライ・チェーンが正常化に向かう中での原価低減等に取り組みましたが、工場の操業度低下が利益の重しとなり、セグメント利益は同14.6%減の5,422百万円でした。

2)EU事業

EU事業では、xEV関連売上が順調に伸び、また再生可能エネルギー向け、急速充電インフラ向け等のインダストリー関連が堅調に推移したことから、売上収益は前連結会計年度比33.1%増の61,065百万円でした。原材料価格、エネルギー価格は引き続き高止まりしたものの、増収効果に加え円安/ユーロ高で推移したこと等から、セグメント利益は同59.3%増の4,026百万円でした。

 

③市場別の概況

当連結会計年度における市場別の概況は次のとおりです。

1)車載関連

半導体の供給が大幅に改善し、過去数年間に亘る供給制約が解消に向かう中、自動車販売台数が増加したことは当社売上収益にも追い風となりました。加えて、xEV関連売上が堅調に推移したこと、為替市場が円安で推移したこと等から、車載市場の売上収益は前連結会計年度比7.2%増の86,865百万円でした。

2)インダストリー関連

脱炭素化及びウクライナ情勢を受けたエネルギー保障の動きから米欧の太陽光発電設備向けが堅調に推移しました。また、急速充電インフラ向けや、医療機器関連も堅調に推移したことから、インダストリー市場の売上収益は前連結会計年度比41.1%増の40,116百万円でした。

3)家電関連

巣ごもり需要が一服した後、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン関連の需要が弱含みで推移しました。家電市場の売上収益は前連結会計年度比29.0%減の20,691百万円でした。

 

(単位:億円)

※画像省略しています。

 

④販売地域別の概況

当連結会計年度における販売地域別の概況は次のとおりです。なお、経営管理においては、各営業所の活動に実質的な責任を有する販売地域別に売上を再集計しています。このため、本項に記載する販売地域別の売上と、「第5 経理の状況」の連結財務諸表注記に記載する数値との間には不一致が生じます。

1)アジア(中国/台湾除く)

車載関連が全般的に好調な一方で、スマートフォン関連・PC等の家電製品関連向け需要が大きく落ち込みました。アジア(中国/台湾除く)の売上収益は前連結会計年度比2.4%減の25,234百万円でした。

2)中国/台湾

前連結会計年度に特に好調だったスマートフォン関連・PC等の家電製品関連向け需要が大きく落ち込みました。中国/台湾の売上収益は前連結会計年度比16.7%減の34,709百万円でした。

3)欧州

太陽光発電設備関連及び急速充電設備関連の需要が力強く、また車載関連の好調もこれを後押ししたことから、欧州の売上収益は前連結会計年度比33.5%増の63,132百万円でした。

4)北米/その他

スマートフォン関連の需要が伸び悩んだものの、xEV関連及び急速充電設備関連が好調であったことから、北米/その他の売上収益は前連結会計年度比3.6%増の24,596百万円でした。

 

(単位:億円)

※画像省略しています。

 なお、当社グループは、需要の動向や顧客の要求、市場の変化等に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産実績及び受注実績は販売実績に類似しています。このため、生産実績は以下「⑤生産地域別の概況」として記載し、受注実績は記載を省略しています。

 

⑤生産地域別の概況

当連結会計年度における生産地域別の概況は次のとおりです。

1)アジア(中国除く)

ベトナム・クアンガイ工場においてxEV関連製品の量産立ち上げを行いました。また、インダストリー関連の新規案件へ対応するため青森工場の拡張を行い、建物の引き渡しを受けました。さらに、タイでの医療機器関係部品増産のための増床及びベトナム・ハイフォン工場の新規用地確保を決定しました。アジア(中国除く)で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比7.1%増の9,665百万円でした。

 

2)中国

中国は当社グループの主たる生産拠点です。当連結会計年度のはじめに現地のゼロコロナ政策が終了する中で、当社グループの生産拠点も徐々に平時の操業状態に戻りました。中国外での生産を要求する顧客が出てくる一方で、中国国内でのxEV関連の伸長並びに欧州顧客の中国拠点に対し当社グループの中国工場から製品を直接納入する要求も増えています。製造現場における生産性向上というテーマは終わりのない課題ですが、当社グループでは工程間の材料・製品移送及び検査工程においてロボットやAIを活用することで、省人化並びに品質向上を両立する取り組みを行っています。中国が世界の工場と言われて久しく、当社グループの使用する部品の調達においても中国偏重リスクがあり、中国国外におけるサプライヤーの開拓も推進しています。中国で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比7.2%減の78,875百万円でした。

 

3)欧州

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、また中東における紛争が拡大するなど地政学リスクがより顕在化しつつある中で、当社グループでは材料の安定確保及び製品の安定輸送に努めました。具体的には、材料の供給リスクのあるサプライヤーを事前に把握して安全在庫を積み増したこと、新たな鉄道ルートの開拓及び飛行機+船のハイブリッド輸送等、物流ルートの多様化を推進したことが挙げられます。これらにより、欧州からの輸出及び欧州への材料輸送等において、リスク低減を図ることができました。また、コロナ禍より開始した3D・スマートグラス等のIT活用による生産停止リスク回避及び効率向上に関する施策は継続しています。欧州で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比34.6%増の46,912百万円でした。

 

4)北米/その他

当社グループは、2018年に実行したM&Aを通じて米国内に2つの製造拠点を有しています。新NAFTA(USMCA)の発効で、メキシコの重要性が増しており、また米国産品の購入が奨励されています。当社グループでは当連結会計年度において、メキシコ工場の大幅レイアウト変更を行い生産面積の拡充を図りました。また、北米及び欧州地域の顧客から米国内での販売を目的として、当社の北米生産に対する引き合いを受けています。RPA活用による業務の標準化及び効率化も併せて推進し、省人化とともにミスの低減並びに属人化の解消を徐々に推進しています。北米/その他で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比26.2%増の12,219百万円でした。

 

 

(単位:億円)

※画像省略しています。

 

(2)財政状態

(資産)

当社グループは、当連結会計年度において新株式発行により6,698百万円(調達コスト控除後)を調達しました。調達した資金は設備投資に充当する計画で、具体的には、xEV関連の新製品対応及び生産効率向上、車載関連市場における既存製品の増産及び新製品対応、インダストリー市場及び家電市場の顧客需要に対応する工場移転及び増床並びに家電市場における新製品対応及び生産効率向上を目的としています。この新株式発行による調達額は、そのまま資産及び資本の増加として現れます。当連結会計年度末における資産合計は142,786百万円で、前連結会計年度末比で7,939百万円増加しました。新株式発行により調達した資金と、前連結会計年度末より累積した利益に加え、円安により外貨建て資産の換算額が大きくなったことも資産増加の一因です。なお、当社グループの保有する資産の約92%は外貨建てです。

流動資産は営業債権及びその他の債権、棚卸資産が減少したこと等により、前連結会計年度末比で782百万円減少しました。

非流動資産は前連結会計年度末比で8,722百万円増加しました。生産設備及び工場の生産能力拡充のため有形固定資産及び使用権資産等が増加したこと等によります。なお、当社グループの有形固定資産のうち約96%が国外の有形固定資産です。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は3,107百万円でした。手元資金については、国内外連結子会社各社に資金が滞留することにより資金効率が低下するリスクに鑑み、主要子会社の最低手持資金額を設定し毎月その設定額と実際手持資金とを比較することで、グループ全体での余剰資金を削減し借入金の圧縮に努めています。また、3か月先までのローリング・フォーキャストを毎月実施することで資金管理を行っています。

 

◎参考:期末為替レート

 

2022年12月期

2023年12月期

米ドル/円

131.71

141.51

ユーロ/円

140.57

156.54

人民元/円

18.91

19.90

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、有利子負債の借入及び返済による残高の変動等により、前連結会計年度末比495百万円減少し、85,473百万円でした。

当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は、前連結会計年度末から2,421百万円減少しています。当連結会計年度末のネットDEレシオは0.88倍で、前連結会計年度末から0.20ポイント低下しました。当連結会計年度末現在、短期有利子負債(1年内返済予定又は償還予定の長期有利子負債を含む)の残高は31,347百万円で、長期有利子負債の残高は20,030百万円です。なお、当社グループの借入金のうち約66%が変動金利、約34%が固定金利によるものです。

当社グループでは、主要な銀行と定期的にミーティングを行い、良好な関係を築いています。銀行団のオープン・コミットメントラインは110億円を維持しており、これら全てが未使用です。

当社グループの保有する資産のうち大部分が外貨建てであることに対応し、為替の影響を少なくするため、現地通貨での調達を増やしています。外貨建て借入金の割合が借入金全体の約86%を占めており、借入金の平均金利は4.2%です。

(資本)

当社グループは、第2四半期連結会計期間において新株式発行により6,698百万円(調達コスト控除後)を調達しました。この新株式発行による調達額は、そのまま資産及び資本の増加として現れます。また、当連結会計年度の第3四半期末までに6,400百万円のフリー・キャッシュ・フローを創出できていたことから、これを原資として、2020年12月に調達した永久劣後特約付ローンの元本全部を2023年12月に任意弁済しました。これらの資本取引に加え、当期利益の計上、配当金の支払、また在外営業活動体の換算差額の変動を主要因としたその他の包括利益の計上等により、親会社の所有者に帰属する持分合計は55,056百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の34.7%から、当連結会計年度末に38.6%となりました。また、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末の1,722.08円から、当連結会計年度末は1,687.39円となりました。

 

《資本政策の基本的な方針》

当社グループでは、国内外連結子会社各社に資金が滞留することにより資金効率が低下するリスクに鑑み、主要子会社の最低手持資金額を設定し毎月その設定額と実際手持資金とを比較することで、グループ全体での余剰資金を削減し借入金の圧縮に努めています。また、手元現金の最小化に努めつつ、銀行団との間でオープン・コミットメントラインを設けています。当連結会計年度末におけるオープン・コミットメントラインの金額は110億円で、これら全てが未使用です。

財政状態の健全性の観点から、Net DEレシオ1.1倍以下をガイドラインとして設定しています。当連結会計年度末のネットDEレシオは0.88倍でした。

当社グループでは、各銀行による当社の信用格付けの維持向上のため、主要な銀行と定期的にミーティングを行い、良好な関係を築いています。中期的には収益性の向上と財務体質の強化に取り組み、信用格付けを取得し、資金調達の方法についての選択肢を増やす目標を持っています。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末比163百万円増加し、3,107百万円でした。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は18,343百万円(前連結会計年度は10,566百万円の収入)でした。ビジネスが拡大する中で、運転資本の増加を抑制できたことが営業キャッシュ・フローの改善に寄与しました。

 当社グループでは運転資本をモニターするKPIとしてCash Conversion Cycle(CCC)を採用しています。当連結会計年度末のCCCは91日で、前連結会計年度末から15日短くなりました。

 当社グループはB-to-Bビジネスを営んでいるため、DSO(売上債権回転日数)の短縮、つまり営業債権の回収期日の短縮は顧客からの値下げ圧力になりかねません。同様に、DPO(仕入債務回転日数)についての取り組みも仕入先からの値上げ圧力になりかねません。したがって、DIO(在庫回転日数)の管理が現実的な取り組みとなっています。DIOはサプライ・チェーンの混乱等のため顧客から納品の先延ばし要請を受けた影響で、2022年6月末時点で116日まで伸びました。その後、地域別、会社別に毎月モニタリングを実施し棚卸資産を減らす取り組みを行い、当連結会計年度末のDIOは84日でした。

 売上債権回転日数は68日、仕入債務回転日数は61日でした。

 

 

実績

増減

2022年度

2023年度

DSO(売上債権回転日数)

78

68

△10

DIO(在庫回転日数)

92

84

△8

DPO(仕入債務回転日数)

64

61

△3

Cash Conversion Cycle

106

91

△15

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は10,702百万円(前連結会計年度は8,174百万円の支出)でした。当連結会計年度における設備投資は、xEV関連の新製品及び増産投資を中心に承認数、承認金額ともに計画どおりに推移しました。前連結会計年度中に承認し、当連結会計年度に実行した案件もあり、有形固定資産の取得による支出は9,804百万円でした。

 当社グループは、顧客からの受注に基づき設備投資をしています。設備投資については、新製品、増産、生産効率改善、更新と目的別に計画を立て、規模の大きい設備投資については、NPV分析、モンテカルロシミュレーション等の手法を採用し、その採算性について検討後、実施を決定しています。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は7,782百万円(前連結会計年度は4,130百万円の支出)でした。当連結会計年度に実施した新株式発行により調達した資金がある一方で、ビジネスが好調なことにより得られたフリー・キャッシュ・フローの一部を借入金の返済に充てています。また、当連結会計年度の第3四半期までに6,400百万円のフリー・キャッシュ・フローを創出できていたことから、これを原資として、2020年12月に調達した永久劣後特約付ローンの元本全部を2023年12月に任意弁済しました。このほか、借入残高が5,977百万円純減したことによる支出、配当金の支払額1,645百万円、リース債務の返済による支出1,629百万円等がありました。

 当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持及び健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保を進めています。成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金は、主に手元の現金と営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入等により調達しています。

 

(単位:百万円)

 

2022年12月期

2023年12月期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

10,566

18,343

7,777

投資活動によるキャッシュ・フロー

△8,174

△10,702

△2,528

財務活動によるキャッシュ・フロー

△4,130

△7,782

△3,651

現金及び現金同等物に係る換算差額

445

304

△140

現金及び現金同等物の増減額

△1,292

163

1,456

現金及び現金同等物の期首残高

4,237

2,944

△1,292

現金及び現金同等物の期末残高

2,944

3,107

163

 

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表を作成するに当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.重要性がある会計方針 3.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しています。